以前に記事にしたとおり僕は小麦に含まれるタンパク質であるグルテンを摂らない「グルテンフリー」の食習慣をチョイスしている。
それはグルテンが腸にダメージを与えることによって、不意に摂取される毒素を腸管より吸収してしまったり、栄養吸収がうまくできなくなる恐れがあるからだ。
実際、グルテンフリーにしてから体の調子が良いし、食後感も爽快なのだから、小麦が食べられなくてストレスが溜まることもない。
人はそれぞれ体質に個人差があるのだから、自分自身の体の反応は特に大事にしたいところだ。
詳しくはこちらの記事を。
https://doroashi.com/gluten-free
さて、小麦にアレルギーを持っている人は当然避けなければならない。また、グルテンについては人それぞれの考え方があると思うし、パンやケーキが好きな人にはなかなか手放せないかもしれない。
しかし、それ以前の問題として小麦を避けるべき理由が残念ながら存在する。
それは農薬だ。
普段食べている小麦には収穫直前にも収穫後にも農薬が使われている可能性があるのだ。
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収穫前の小麦に除草剤
アメリカやカナダなどから輸入される小麦には収穫の一週間から10日という正に直前の時期に除草剤を撒布している可能性がある。
一般的には除草剤は作物の周囲にはびこる雑草たちを枯らす為に使われるものであるが、小麦の場合はそうではない。驚くべきことに小麦そのものを枯らす為に使われるのだ。その理由は二つある。
一つは小麦の収量が増えるからだ。
除草剤をかけて収量が増えるなんてそんなバカなと思えるのだが、除草剤によって小麦が死にゆくその前に、次の世代に繋ぐべくより多くの種すなわち小麦の実をつけるからだ。
もうひとつは小麦の乾燥の為だ。たしかに「枯れる」と「乾燥」は同じようなものかと苦笑いしてしまう。
小麦の乾燥を促進することで、収穫を早めることが可能になる上、収穫後の乾燥の工程を短くすることにつながる。湿度の高い地域においてはなおさらである。
また作物は当然全てが一変に収穫適期にならないが、除草剤をかけることで収穫期を合わせることが可能だ。これで一度に機械で収穫できる。
これを読んでどれだけの人が「なんて便利なんだ!」と思うのか気になるところではある。
しかし考えても見て欲しい、通常除草剤は作物を避けて撒布されるもの。草を殺すためのものだ。そんな薬品を私たちの食べ物に直接かけているのだ。
もはや命を育むための農業が、命を製造するものになりさがったような感を否めない。食べ物というより、エサというより、燃料と言ったら言い過ぎだろうか?我々はマンパワーと言う名の工業製品になりさがったのだろうか。
グリホサートとは一体なんなのか
健康とか、環境とか、オーガニックといったキーワードに明るい人であれば、一度は聞いたことがあるだろう除草剤が、モンサント社が販売する、グリホサートを有効成分としたラウンドアップだ。
近年ではWHOのガン研究団体もグリホサートの発がん性に警鐘をならしており、各国各行政区がその使用や販売を規制し始めている。
グリホサートはホルモン分泌を狂わすだけでなく、腸内細菌も殺せば、 DNAにまでダメージを与える恐れがある。動物実験においては繁殖機能に問題を起こすことも指摘されている。
グリホサートかけてしまうと発芽に影響がでてしまうそうだから、種取り用の小麦には使わないようだ。動物にとっても植物にとっても、グリホサートは生殖機能にダメージを与えるということになる。
そういえば固定種と在来種の種のみを扱う野口のたねの野口さんも、種の取れない1世代限りのF1種の野菜が出回るようになったことが、我々人間の出生率に影響を及ぼしているのではと指摘している。種無しの作物を食べることで人もタネを残せなくなると言うのだ。
さらにはグルテンフリーの記事でも取り上げた、セリアック病やグルテン不耐症の増加とグリホサートの使用にも関連性が見られるようだ。
それ以外にもADHD、アルツハイマー、パーキンソン病、心臓疾患、腎臓疾患、肝臓疾患などがグリホサートとの関係性を指摘されている。
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世界と日本のグリホサート事情
最近ではカリフォルニア州の学校の校庭にラウンドアップを撒いていた男性が、末期の悪性リンパ腫を患ったのはグリホサートに起因するとしてモンサントに対し訴えを起こし、歴史的な勝利をしたばかりだ。
「モンサントの除草剤でがん発症」、末期患者に賠償320億円 米裁判所
カリフォルニア以外でも多くの国々がグリホサートに対する規制を強めているのは前述した通りだ。しかし、日本のホームセンターにおいては一番目立つ所にところにモンサント社のラウンドアップが山積みになっている。
しかもグリホサートを有効成分とした除草剤は百円ショップのダイソーでも販売されているほど、日本ではどこでもだれでも手に入る状態になってしまっている。
さらに畳み掛けるように日本はグリホサートの使用規制を緩和している。世界の潮流に反するのが日本のスタイルなのだろうか。日本のガラパゴス化は加速するばかりである。
収穫後の殺虫剤撒布
収穫前のグリホサートも恐ろしいものだが、それに飽き足らず収穫後にも農薬をかけているのが小麦の恐ろしいところだ。収穫後の農薬使用は日本では許されていないし、アメリカにおいても国内では毒性の弱い消毒のみだ。
そう、「国内では」だ。
「国外」向けはその限りではなく、アメリカから日本に輸入される小麦には輸送中の虫やカビの被害を防ぐための殺虫剤が散布されている。そして当然のごとく多量の残留農薬と言う形で検出されているのだ。
実際小麦の外側は農薬によって色味が悪くなってしまうので、その外側のみを粉にした一番粉は中華麺などとして着色されて出回っているそうだ。
国産やオーガニックをチョイスする
どうしても小麦を断ち切れない人はもちろん、たまに小麦を食べるひとも可能な限り国産小麦をチョイスした方がよいだろう。そうすれば収穫前のラウンドアップも、収穫後の殺虫剤も使われていないはずだ。
ちなみに収穫前の除草剤散布による乾燥促進は小麦以外の穀物にも、豆類にも、ジャガイモにも使っているらしいので、それらも国産を選ぶのをお勧めしたい。
しかし日本の農薬使用も負けていないし、僕が以前アルバイトした農家でも規制以上の量を撒いたり、特定の種には撒いてはいけない農薬を撒いたりもしたので、なかなか信用ならない。
そういう意味ではオーガニックだって信用ならないだろうと言われれば確かにそうなのだが、それでも慣行栽培によって作られた作物よりは安全であろう。ましてラウンドアップは使っていないはずだ。と、願っている。
国産を強調はしたが、オーガニックにおいては訴訟社会であるアメリカのオーガニック認証の作物は悪くないと思う。規制に厳格でないとすぐ訴えられてしまうからだ。が、友人のアメリカ人はアメリカのオーガニックはダメだと言っていたからなんとも言えない。まあ、皆、自国には厳しいのかもしれないが。
国産と小麦
これまで読んできて「ならば小麦は国産にしよう」と思っていただけたならうれしいが、そう簡単に行かなかったりするから難しい。
というのは、日本で消費している小麦は驚くことに95%が輸入なのだ。
ということは、国産小麦使用を謳った一部のこだわりの小麦製品を除けば、ほぼ全てが外国産の小麦ということになるだろう。即ちジャンクフードほど外国産ということになる。ラーメン、パン、ハンバーガー、クッキー、ケーキetc
細かい話はここでは控えるが、ここまで小麦食が浸透したのはアメリカの作戦勝ちと言える。日本は胃袋を支配されたのだ。
それは消費量にも見えていて、
小麦の一人当たりの消費量は昭和40年から30kgほどと変わっていないが、米の消費量は昭和40年で一人当たり100kgを超えていたのに、いまや50kgほどまで落ち込んでしまっている。
食卓に占める小麦の割合が増え続けているのだ。
さらに、全年代において朝食はパン派がご飯派を上回っているのが日本の現状だ。
しかも若い世代を筆頭に日本は人口減少時代に入っているわけだから、それは耕作放棄された田んぼが日本中に広がっているのも頷けるし、食料自給率も上がるはずがない。これでは個人の健康のみならず、国防問題であると言ってもいい。
自分の健康は自分で守る気概でいないといつ足元をすくわれてもおかしくない。そんな時代を僕たちは生きている。
なにせ、世界では当たり前のでも日本では知られていないことがあまりにも多い。食べるものから、情報まで、僕たちは広い視野を持って選び取っていく必要があるだろう。
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