
抱いて作った共麹。写真は僕が担当した2分づき。
さて、先日は三人で10kgの麹作りを成功させまして、出来上がった麹の9割5分以上は味噌作りに、その残りを使って甘酒をこしらえました。

実はその時に一人100gづつの計300gの麹をとっておいたのですが、この残りを培養してさらに麹を増やそうじゃないかということになりました。
この方法は共麹(ともこうじ)、または友麹と呼ばれ、通常は麹屋さんから種麹を買って来て麹菌を混ぜ込むところを、出来合いの麹に住まう麹菌を使って種下ろしをする手法です。ヨーグルトを培養するような感じですね。
共麹で菌をずっと繋いでいけるなら、もう種麹すらも買う必要がないですから、自給能力がまた一つアップしますし、上質な手作り発酵食品を潤沢に食卓に並べることが可能となります。
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共麹のレシピ
今回作った共麹は合計約3kg。
材料は
・米3kg
・麹300g
麹1に対して米10ですね。
共麹に関してはネット上でもたくさんの方がレポートを上げていますので、そちらも参考にしていただければと思いますが、基本的に種麹の場合と同様、種の比率が多い方が成功しやすいはずです。
また、今回は実験も兼ねて米の精米歩合を変えてまして、白米、5分づき、2分づきの三種類を試してみることにしました。それを今回は五人で分けて再び抱き麹にて培養します。
本当は玄米麹にトライしても見たかったのですが、難易度が高いそうなので一先ず断念。米の表面に傷が付いていた方が成功しやすいのだそうです。もっとも玄米に近い1分づきは機械の都合上できなかったので、2分づきとしました。
後々更にリサーチを進めると、玄米をフードプロセッサーで少しだけ傷つけたり、発芽玄米を使って麹を作っている人もいたので、これは次回以降の課題としたいと思います。
抱き麹にて共麹を作る!
抱き麹の作り方はすでに冒頭に添付してもいる、以下の過去記事を参考にしていただければと思います。

今回は共麹ですので、種麹を入れる行程を、出来合いの麹に変えるだけ。あとは同じ。布でお腹に巻きつけて48〜72時間保温して発酵を促します。まるでお腹の赤ん坊をかわいがるように麹のケアをして上げてください。
また、前回は三人で3kgづつを抱き続けたので体にも応えましたが、今回は五人で600gづつ。これくらいですと全くストレスになりません。ズボンのポケットにだって入ります。レシートで分厚くなった財布よりは大きいですが、麹と一緒に町に出ても何も違和感ありません。
手入れについて
麹を作るにあたっては上がりすぎた温度を冷ますため、発酵のムラをなくすため、酸素や水分を均一に行き渡らせるために麹の包みを開けて米を混ぜる「手入れ」という作業があります。
前回の抱き麹では僕が担当していた二つの麹の包みのうち、一つは一度だけ手入れをし、もう一つは包みを開けもしませんでしたが、結果としては二つとも上質な麹ができました。
という個人的な経験を参考にして、今回も一度も手入れせずに抱き続けることとしました。そもそも麹屋さんがやるように大量に仕込むわけではなく少量ですから発酵ムラ出にくいのかもしれません、という勝手な期待もこめつつ。
完成
今回も前回同様60時間くらい経過したところで完成となりました。
白米も、5分づきも、僕が担当した2分づきもどれもしっかり麹菌が繁殖して無事成功しました。白く菌糸が広がって団子状となる「破精まわり(はぜまわり)」もしっかりとできています。
いかに冒頭の写真を再び。いつも作業を優先して写真をほとんど撮らず終いなのを少しづつ改めないといけませんね。
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抱いて作った共麹。写真は僕が担当した2分づき。
ただ、今回出来上がった麹は僅かではあるものの「青っぽいカビのようなもの」がついてしまっている個体もありました。
これが毒性のあるカビなのか否かはわかりませんが、調べてみるとコウジカビ(麹菌)に属するものでも人間に対して病原性を持ったり、アレルゲンとなるものもいるそうです。健康体の人には問題ない範囲とも言えるでしょうが、今話題となってきているカビ毒(マイコトキシン)による健康被害も考えられます。
と、いうわけで、この麹はありがたく頂きますが、ひたすら自作の麹を共麹にて繋いでいくという大きな野望は一旦お手上げとしまして、次回の麹作りは再び種麹を使うことになりました。
確かにネット上でリサーチしていても、麹作りにおいては麹菌以外の雑菌も混入していきますので、共麹を続けるとそれら雑菌が増えていってしまい、麹の質が劣化していくそうなのです。
そういう意味では一度自作した麹を種とする共麹作りの場合はどうしても雑菌の混入は避けられないものかもしれません。お店で買ってきた麹を使って共麹にて麹を培養する場合は、余計な雑菌もなくもっと安定した麹になるのではないでしょうか。これも1度目に限ってはのことでしょうが。
それにしても毎回お店で買った種麹に頼るところを、共麹を挟むことによって2回に1回にできるとあらばこれは大きな進歩。何にせよまたひとつ発酵の世界を深く知ることができまして、これが幸福でなかったら何でしょう。
人間の目には見えない菌類の世界ですが、麹やその他発酵食品を作ることはその世界を可視化させ、僕たちに新たな視点と知見を与えてくれます。頭では分かっていたつもりでも、これまでは少しも腑に落ちていなかった微小な世界への扉を麹作りは開いてくれるのです。
抱き麹の記事に書いた追記
麹を布に包むのではなく透明の窓付の米袋に入れれば、手入れの際の開け閉めも楽だし、袋に入れたままシェイクすれば麹を簡単に混ぜ合わせることも可能。
発酵前の温度を上げたいときはギューっと押し付けるようにして袋を縛る、
発酵後期の温度がどんどん上がってしまうときは袋をブカブカにして空気を入れて縛る、
そうすれば温度管理がだいぶ楽になります。
米袋へは直接麹を入れてOK。
袋は紙なので調湿効果も期待できし取り扱いが一気に楽になります。
手入れはしなくても大丈夫、と、本文で書いていますし、確かに問題なく麹になりますが、手入れに手間がかからないのなら、しっかりやっておいたほうが良いと思います。どうせなら質の高い麹にしよう。
手入れは開始後24時間に一回目、そして開始後48時間での完成までに追加で1、2回。
これでまた抱き麹が身近になりますね。
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