埋もれていた芋穴(ルートセラー)を復活させる

僕が今住んでいる古民家には芋穴だろうと思われる穴が、家の裏の山の斜面にあった。長年放置されたことから、周囲の壁の風化によって砂が入り口の2/3を埋めてしまっていた。

すでに掘り出したジャガイモはあるし、これから里芋とさつまいもの収穫も控えている。我が家は保冷庫がない。正確には残置されていた巨大なものを売却した。必要以上に大きすぎたし、できる限り非電化、非オイルでやりたいと思っているからだ。ならば天然の貯蔵庫たる芋穴を復活させる他ないじゃないか。

大仕事になるかと思ったが、すぐに終わった。スコップと鍬で砂をかき出すだけだ。昨年には囲炉裏の灰の嵩上げのためにここの砂をいくらか採取してもいるし。

入り口の高さは中腰になって入れるくらい。2mほど進むと道は左右に別れてそれぞれ1.5mくらい奥行きがある。上から見るとYの字に掘り進められている。

入って左
入って右

試しに温度計を置いてみると22度を指していた。外気温は確実に30度を超えていたから、体感的にもかなり冷んやりしていた。

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地下数メートルから10メートル程になると井戸水の温度とほぼ同一になるのだそうだ。井戸水といえば年間を通して温度変化が少ないゆえ、夏は冷たく、冬は暖かい。そしてその温度はその地の年間平均気温に近いそうだ。気象庁のデータによると僕の住んでいるあたりは13.5度程度らしい。(1981年から2010年の平均値)

この芋穴の上はちょっとした道になっているのだが(太陽熱温水器がおいてある)、そこからだと実質地下3mくらいになるだろうか。穴の奥行きもそれほどではないし、入り口も開けっ放しになっているから、それなりに外気温の影響を受けるのだと思われる。簡易のものでも良いから扉をつけたほうが良いのかもしれない。

実用的な芋穴の条件としては冷暗な環境であることと、温度と湿度の変化を限りなく小さくすること、冬季の凍結を防ぐことだろうか。芋穴の中で芋を籾殻などで覆っておけば扉がなくても十分かもしれない。

野菜は収穫した後も呼吸を続けて生きているから、温度や湿度の変化を小さくすることで鮮度をより長く保つことができる。温度が高い環境では呼吸が盛んになり、発熱して鮮度が落ちるので、温度の低いところで保存したり、新聞紙で包んで呼吸を抑制するなどの対策をとる必要がある。

収穫物の多くは凍る手前の温度である1〜3℃、そして90%以上の湿度においてもっとも保存性が高まると言われる(下記リンク参照)。収穫物を凍らせないこと、そして高い湿度を保つことは芋穴の得意分野だ。

農研機構 野菜の最適貯蔵条件

しかし13度くらいの温度を好む作物もあって、その代表的なものがさつまいもだろう。さつまいもは元々南方の作物なだけあって寒さに弱く、5度以下になると低温障害を起こして黒くなってしまう。ミトコンドリアの機能が弱まってしまい、エネルギーを合成できず細胞死してしまうのだそうだ。見た目が悪いだけなら良いが、黒くなった箇所は甘くない上に苦い。

さつまいもの貯蔵に最適な温度は13~16℃で湿度は90~95%。温度が高すぎても良くなくて、20℃を超えると発芽が進んでしまうなど、なかなかデリケートな作物だ。

このさつまいもの最適環境を見ていると、芋穴の環境そのものであることに気づく。なるほど芋穴とかルートセラー(根菜蔵)とかいうわけだ。

因みに母の実家ではさつまいもは床下に保存していたと言っていた。地域とその気候に即した方法が各地で確立されているのだろう。特に一昔前までは、食料の保存は生きる知恵なんて生易しいものではなく、サバイバルそのものだったであろうから(まあ今もか)。

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百姓2.0/自給リスト(自足に限らず);野菜、米、塩、味噌、建築、トイレ、経済、国家、獣肉(拾い物)、書籍、映像、音楽 etc /自著『旅をふりかえる旅』https://amzn.to/2Wb1mNs、『下らない生き方』https://amzn.to/2ZEjgKf /
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