化繊ウェアからもマイクロプラスチック。2050年には海にはプラスチックの方が魚より多くなる?

Pixabayより

環境活動でも名高いパタゴニア社が近年、化繊製品から剥がれ落ちるフリースの糸くずなどのマイクロファイバーが洗濯機の排水溝から流れ出て、海を汚染していることについてその調査研究に乗り出しています。

これはアウトドアやランニングなどで化繊の服を利用する僕にとってはもちろん無視できない問題で、そもそも自然により密接に触れ合うが為に化繊製品の雨具やフリースを着ることが、それを大事に使っていたとしても、知らずのうちにその自然に負荷を与えているとは衝撃でした。

山中のテント泊では食器洗いや歯磨きの水は飲むし、いかにその場所に痕跡を残さないかには出来る限りの注意を払ってきました。

アメリカ国立公園のトレッキングでは川での洗濯は禁止ですが、まだ僕はそこまではできておらず、日本の山を長く歩くときに沢に入っては体を洗ったり、洗濯をしたりしますが、その際に流れ落ちる洋服の染料については確かに気になっていました。天然染料ならまだしも、ほとんどの服が化学染料。手ぬぐいなどの色はドバドバ落ちます。しかし、むしろその時洗った化繊の服の方が環境負荷が大きかったのでしょうか。もちろん洗剤などは使いませんよ。

そんな細かい化繊の糸くずなどの、すなわちマイクロプラスチックが海に流れ出たって大したことはないだろうと思う方が多いかもしれません。しかし知らず知らずのうちに水が、塩が、魚までもが汚染されてしまっている現状があります。

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海を漂うプラスチックゴミ

化繊ウェアだけがマイクロプラスチック(マイクロファイバーというべきでしょうが、日本ではそれだと掃除用品ばかりがヒットしてしまう)を生み出しているのではありませんので、化繊ウェアのみを魔女狩りさながらに排除してしまうのは違います。天然素材のウェアだって、オーガニックでないコットンは大量の農薬と水を使用するわけですから。

漁網などの漁業廃棄物、ペットボトルのキャップ、包装、ビニール袋など、南の島のエメラルドグリーンの海にすら当たり前のように漂着しているこれらのゴミも含め、あらゆるものが海に浮遊しています。

小さくなっても分解されないマイクロプラスチック

大きくて目立つものばかりではなく、実は海を漂うプラスチックゴミの70%が5mm以下のマイクロプラスチックと言われています。

プラスチックは紫外線などの影響で劣化してボロボロになりますからね。しかしそれは細かくなって見えなくなっただけで、分解はされていません。

マイクロプラスチック・ビーズの恐ろしさ

日本人の多くは認知していないと思いますが、実は歯磨き粉や洗顔料などにはマイクロプラスチック・ビーズという極小のプラスチック粒子が含まれており、これが処理工場のフィルターをも通過してしまうために、大量に川に海にとなだれ込んでしまっています。

汚れ落としのスクラブなんかがそうです(僕の方が歯磨き粉も洗顔料も使わないのでよくわかってなさそうですが)。

このサイズが驚くべきことに0.001mm~0.1mmの小ささで、ゆえに軽くて水に浮くため、排水溝から世界の海へ流れていく。

歯磨き粉や洗顔料だけでなく、シャンプー、日焼け止め、乳液、その他メイク用品などにポリエチレンが入っています。石油製品ですね。そんなものを体に塗っているのかと驚きます。

EUやアメリカではマイクロビーズを規制する動きが始まっていますが、日本ではまだまだのようです。

小さすぎて回収が困難

そんなマイクロプラスチックは小さすぎて回収ができないのです。

マイクロビーズの入った製品の使用を止めること、大きいプラスチックゴミは、海にたどり着く前に、そして小さくなる前に回収する必要があります。

化繊ウェアとマイクロプラスチック

話は戻って化繊ウェアのマイクロプラスチックに話を戻します。

フリースの糸くずが流れ落ちるのはイメージしやすいですが、ランニングショーツからヨガパンツまで、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、アクリル、ポリウレタンと、ありとあらゆる化学繊維がマイクロファイバーとして流出しています。パタゴニア社の提案を参考に、化繊ウェアとの付き合い方を考えていくと、

長く使う

買ったものは大事に使い切るというのは大前提で、その上でそのウェアとの付き合い方や今後の購入についてを考えるということになるでしょう。何しろ製品の環境負荷を減らす最も簡単かつ有効な手段は、それを長く、リペアしながら使い倒すことです。

良いもの(高額なもの)を長く、というのは当然で、安いものも長く大事に使うということ。ファストファッションをファスト(ファストフードのファスト)にしているのはユーザーです。

最近はブックオフやセカンドストリートなどで、まだまだ使えるどころか、僕が普段使っているよりも綺麗な服が沢山売っているので、もうよっぽどのことでないと新品を買う気になりません。長く使われたものを、さらに長く使う。

品質の良い製品を選ぶ

ユニクロの製品だって長く着れる良いものが沢山あります。高ければ良いというでもありません。注意しないといけないのは、安かろう悪かろうで耐久性のない服を選んでしまうことでしょう。高ければそれなりに大事にされるでしょうから。

またパタゴニアがカリフォルニア大学の協力のもと行った調査では、一般的な安価なフリースよりも、パタゴニアのフリースの方がマイクロファイバーの抜け落ちが少ないそうです。品質の悪いフリースはパタゴニアのそれと比べ、その寿命あたり約170%多いマイクロファイバーが抜けてしまうとか。

洗濯の回数を減らす

そしてマイクロファイバーは洗濯の時に抜けます。また、ドラム式よりも縦型の方が5倍も繊維が抜け落ちるそうです。アウターやミッドレイヤーであればそんなに頻繁に洗う必要はないですし、劣化を早めます。

メーカー的には化繊ウェアには中性洗剤ということになるのでしょうが、僕は水で洗って外に干しておくだけで良いと思います。かつて鼻炎がひどかった僕にとっては、洗剤は使うだけ鼻についてムズムズします。どうしても洗剤を使う場合は生分解性能の良い洗剤や、洗濯機にマグネシウムを入れるだけというのもありますね。

日本人は清潔の概念を一度考え直して良い局面に来ていると思います。腸から口内から皮膚まで、細菌の力で守られていますから。

洗濯ネットに入れる

そんなパタゴニアでも販売を開始しましたが、洗濯ネットに入れて化繊製品を洗うことで他の衣類との摩擦を軽減できる上に、マイクロファイバーが流れ出るのを止めることができます。ホームセンターで買ったものでも良いと思いますが、安物すぎるとそれ自体がマイクロプラスチックを生み出しそうなので気をつけたいところ。

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海ごとや人ごとではない健康被害

プラスチックはそれが海に流れ出ること、そして海洋生物が飲み込むことによって生態系に大きな影響を与える可能性があります。さらにはプラスチックは化学汚染物質を吸着する性質があるのもその問題を大きくしています、それは巡り巡って僕たちの体にも帰ってきます。

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今の所、僕たちがマイクロプラスチックを摂取することでの健康への影響は認められておりません。が、健康へは「ただちに影響しない」としても、長期的な摂取によって見られてくるものでしょうし、そのほかの化学物質や放射能の汚染も広がっている以上、マイクロプラスチックの単体の身体的影響を導き出すのは簡単ではないと思います。

ただ、飲食店の料理にパッケージの切れ端が入っていたら、もちろん食べないですし、人によっては大騒ぎになるでしょう。そんなプラスチックが見えないうちに僕たちの生活に忍び込んでいるのだというのは無視できない問題です。

水道水の汚染

欧米やアジアなどの14ヶ国から収集した水道水を調べた結果、マイクロプラスチックの入っていないものは一つもなかったそうです。一年間その水道水を飲み続けると7000個のプラスチック粒子を摂取することになります。

調査対象の国においてインドのニューデリーやインドネシアのジャカルタなどの水道水は特に質が悪いイメージが一般的にはあると思います。しかし驚くべきことにこの調査において汚染がひどかったのはレバノンのベイルートとアメリカだっと言います。

アメリカのような先進国と言われる国の水がこれですから、日本だってわかりません。

14カ国の水道水を調査、そのすべてから「マイクロプラスティック」を検出──健康へ悪影響を及ぼす可能性は? ー wired.jpより

海塩の汚染

8カ国で製造された16種類の海塩(一部に湖が原産の塩も含まれる)。そのうち15種類にマイクロプラスティックの粒子が含まれていたことがわかった

海に流されたプラスティックゴミは、「食塩」に混じってわたしたちの食卓に戻ってくる:研究結果 ー wired.jpより

原典のネイチャーの記事をざっと見ると17種類の海塩のうちの15種類だと思うのですが、問題はそこではありませんね。汚染は広がっています。しかもマイクロプラスチックが見つかった塩の内の一種類は日本の塩です。

日本は海に囲まれ、海岸線の長さはアメリカのそれ以上であるほどに豊かな資源を有していますが、昨今は海の汚染について聞くことが多い。原発事故の影響で東北の海はやられ、奄美大島の海洋タンカー事後で西側からも汚染が広がり、さらには海流に運ばれたマイクロプラスチックが世界を回っています。

僕は沖縄の塩が好きですが、あんなに綺麗な海にも容赦無く漂着ごみが流れ着いています。塩ですら安心して買えない時代はもうすぐそこなのでしょうか?世界中の人が岩塩に殺到する日も近いのかもしれません。

魚の汚染

人間が出した微小な「マイクロプラスチック」が魚の成長を妨げている可能性 ー gigazine.netより

海に漂うマイクロプラスチックは魚たちが誤飲している可能性があるとのことで、スズキを使った研究によれば、マイクロプラスチックを摂取した魚は成長が阻害されているそうです。

他の汚染物質のように小さい魚を大きな魚が食べることで生物濃縮しても行く可能性も考えると、大きい魚はますます食べない方が良くなるかもしれません。マグロに溜まった水銀は有名ですね。

そもそもが食物連鎖の上の方にいる生き物はあまり食べない方が良いと思います。ニホンオオカミが居ない日本のようにいびつな生態系になります。

あとがき


何かちょっと買うだけでつきまとうプラスチック。もはやプラスチックを買っているんじゃないかと思うほど、過剰包装にまみれている商品もあります。

あたりを見渡すと、ポテトチップス一個買って袋に入れてもらっているような人もまだまだ多い。ポテトチップスをそのまま持てばいいんじゃないかと思うのですが、なかなかそうなりません。袋いりません、と言うことがクールでない国はダサいと思います。

先進諸国ではゴミの存在はそれなりに見えなくなっているので、逆に危機感が薄かったりするところもあります。例えば、中国やインドがEV化に切実なのは、その大気汚染の状態もあるでしょう。

また、インドは人々がゴミをその辺に捨てることで有名ですが、人口は中国を超える勢いですし、やはりプラスチックは土に還りませんから問題になっていて、僕が訪れたインドの街ではプラスチック包装を使わないところもありました。そんな街では新聞紙で折り紙のようにして作った袋などに商品を入れてくれます。

何しろ年間で40億トンのプラスチックが生産されて、その4割が一度しか使われずに捨てられていると言われ、さらに悲しいことにはそのうち800万トン以上が海に流れ込んでしまっています。

また世界経済フォーラムの発表によれば、「2050年には、海には魚よりプラスチックの方が多く存在する」までになるとか。

一方でイギリスのような先進国は中国に毎年50万トンのプラスチックをオフショアすることによって解決して来ましたが、中国によってその関係は解消されました(https://www.bbc.com/news/business-42455378)。結局、廃棄物は見えないように見えないようにとしていたわけです。

そんなイギリスでは2017年にBBCが放送した海洋ドキュメンタリー『Blue Planet II』が報道したプラスチック汚染の影響で、その問題意識が非常に高まっていて、イギリス王室は使い捨てプラスチックの削減を掲げ、BBCも2020年までにそれらを撤廃すること発表しています(https://www.bbc.com/news/uk-43051153)。

そんな中、フランスではすでに2020年より使い捨てプラスチック容器を禁止にする法案が可決しています。

植物性のプラスチック容器の開発と利用は世界中で進んでいますし、ブロックおもちゃで有名なLEGOはブロックの植物を、サトウキビ由来の樹脂で作り始めています。

しかし、最近僕が訪れた虎ノ門タワーのコーヒーショップでは店内で注文したのに使い捨てカップを提供されたり、人を訪ねるたびに個包装で配りやすいと人気の葉っぱ型のチョコレートをいただいています。日本のような潔癖社会では個包装は便利な手段なのでしょうが、日本のガラパゴス化はどこまで行くのだろうかと心配になります。

参考サイト

パタゴニア・クリーネストライン
マイクロファイバー汚染について私たちができること
マイクロファイバー汚染に関するアップデート
海の極小プラスチック繊維について私たちが知っていること

 

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百姓2.0/自給リスト(自足に限らず);野菜、米、塩、味噌、建築、トイレ、経済、国家、獣肉(拾い物)、書籍、映像、音楽 etc /自著『旅をふりかえる旅』https://amzn.to/2Wb1mNs、『下らない生き方』https://amzn.to/2ZEjgKf /
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