古民家に移住して思う空き家対策の為の片付け助成金とその先

島根の古民家に引っ越してから、9月はまるまる片付け(と畑をいくらか)に費やしたものの、処分品はまだまだ目の前に山と積まれている。時にモチベーションに溢れ、時に打ちのめされる、そんな日々を送っている。

ボチボチやろうと言いたいところだが、秋も深まり彼岸も過ぎた。既に冬の気配を感じさえする日もある。嗚呼、冬支度がまるでできていないじゃないか。

そんななか今まで後回しにしてきた「大物」の片付けに着手してみることにした。気が向いたのである。気が向いたのならその気持ちに素直に従った方がいい。なにしろ気が向かないとどうしてもできないことはあるものだから。

その「大物」とは米の乾燥機だ。

これが2個もある。しかも部屋を埋め尽くすほどにデカイ。

しかもこの乾燥機があるのは、まさかまさかの納屋の2階なのである。

こんなものどうやってここに上げたのだろうかと、我が家の七不思議の1つであったのだが、冷静に考えるとこの部屋にて組み立てたに違いない。

ならばバラすことができるはずであろう。

説明書があったので見てみると

長さ 約2.7m
幅 約1.5m
高さ 約3m
重さ 約550kg

であった(笑)

しかもこの納屋は雨漏りが酷い。母屋は先日瓦のズレを直し、幌を張ることで雨漏りを解消することが出来たが、納屋は問題の半分くらいしかクリア出来ていない。それは納屋の雨漏りが起きている場所が、屋根の裾の方で起きている上に、屋根の垂木や野地板などの構造部が朽ちていてとても体重をかけてみようと思わない状態だからだ。

古民家の土葺き瓦屋根の雨漏りを応急処置

そんな雨漏りが僕がここに引っ越す前から起きていて、なんの巡り合わせかこの重量級の乾燥機のある箇所が患部であったために、乾燥機の下の梁まで亀裂が入ってしまっている。

まあ、二つ合わせて1トンを越える乾燥機があるのだから、雨漏りなぞ関係なく梁は折れてしまっていたかも知れない。なにせ300~400kgのグランドピアノを置くのにも床の補強が必要だし、本好きの本棚なんかもヤバイ。そういうものだ。

こんな状況だからこの納屋は早々に解体して母屋補修の材料とするつもりだ。そのためには雨漏りが家の腐敗を進める前に早く解体したい。そのためにはこの巨大な乾燥機を運び出さなくてはならない。鉄くず屋に持っていけばちょっとした小遣い位にはなろう。

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取っておくことが物を大事にすることではない

この乾燥機に限らないが、古民家整理で出てくる物品を捨てるという話になると、「もったいない」なんて意見を頂くことがある。

使えるものを捨てることがもったいないというのは分かる。が、あまりそこに住む人の気持ちを汲んだ言葉とは思えない。使えるからと言って全て取っておいたら、その分余計な収納や建物、管理する手間や時間がかかる。それは空間と時間と労働がもったいないとも言える。

対して好みでもない調度品に囲まれて暮らす必要はない。1日の時間は皆平等。そして生きる時間はかぎられているのだから、わざわざ自分のスタイルに合致しないモノたちに人生を合わせるのだってもったいない。

だいたい、これはいつか使うだろうと思って取っておいても大概のものは使わない。そうやって押入れの奥に眠っているものがこの国だけでもどの位あるだろうか。しかも古い家では、ずっと物をしまっておくとカビるのだ。結果、それらはダメになるし、家もダメになるし、生活環境もダメになる。

自分のやるべきこと、やりたいことが分かっていたら、自信を持って処分するのがよい。僕は米を作るなら天日干しを選ぶから乾燥機は使わない。だから処分する。

もちろん片付けで発掘した「お宝」は愛を込めて大事に使っている。

それに捨てまくっても十分すぎるほどある。いままでの山暮らしは物を溜めて成り立たせていたのだ。

オリジナルのヒッピーを生きた人が「バックパック一つでここにきたんだけどなあ」と家を見渡したのを思い出す。

一方、これからの山暮らしは如何に持たずにやるかであると思う。どうせスマホがあるのだから何が不便ということもない。

コンビニなんかが近くに無い方が時間を貪らなくてより便利だったりもするものだ。

「片付け助成金」をもらうために注意すべきこと

やっと本題に入ってくる。

地方に移住する人の多くが「空き家バンク」を利用してきただろうし、これからもすることになると思うのだが、各地方自治体はIUターンの促進のために、それら空き家バンクの掲載物件に片付けの助成金を出していることが多い。

とても素晴らしい制度であると思う。が、注意しなくてはならない点がある。

それは地方自治体によって、

「空き家の所有者のみを対象としたもの」

「空き家の所有者並びに、そこへの新規居住者の双方を対象としたもの」

があるからだ。

前者では、空き家の所有者が、買い手を見つけるにあたり家を片付けるための補助であるから、新たな居住者が決まってしまえば行政は目的達成。人口が増えた。だからもう補助は出す必要ない。ということだ。今、僕がやっているように、引っ越してから掛かる片付け費用には助成金は出ないことになる。

幸い僕が移り住んだ自治体は売買成立してからの新規の所有者に対しても片付け助成金が出るのでとても助かる。なにせ時間はかかるし、お金もかかる。片付けフルタイムである。

助成金の対象になったとしても、自治体によって金額も違うし、上限も設定されている。支出の半分のみ補助がでるというケースもあるので、各自治体のホームページを見るなり、役場に連絡をいれるなりしてよく確認したほうがよい。

因みに僕が住んでいる自治体の片付け助成金は10万円である。ご参考までに。

家財とともに放置される空き家

僕の知り合いのケースにおいても、今まで見てきた行政情報においても、新規居住者に片付け補助を出している自治体の方が少数派であるのではないだろうか。

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特に、いわゆる「古民家」と言われるような家、もっと言うと、すこし人里離れたような家ほど物が多い。当然そこでは「入居後にも片付け補助が出れば。。。」という声が聞かれる。

例えばそんな家ではかつてお爺ちゃんお婆ちゃんだけで暮らしていた。アクセスの悪い中山間地域に残る若い世代は稀だ。その老夫婦は、老齢により息子の家に同居するとか、亡くなったとかで空き家となった。

荷物の多くはそのままだ。長年溜め込んできたものがそこにある。

ここで、空き家の所有者向けの片付け助成金が役に立つはずだ。しかし、業者に頼んで処分するのも大変なくらい物があるかもしれない。助成金だけでは足りないかもしれない。都市部に住んでいる息子には田舎の家までケアしてられないかもしれない。毎日忙しいのだ。まあ面倒だから家はそのまま放って置こうとなるかもしれない。いつか使うかも知れないし。そもそもお墓があるからなかなか手放せないのかもしれないが。

そうしてなのか、沢山の古民家が無人のままに放置されている。空き家かどうかは庭の草木の様子ですぐに分かる。冬になると屋根に雪が積もって、屋根が落ちて穴が開いているのが浮き彫りになってしまうという、悲しい判別方法すらあるのだ。

それでも一部には僕が住むことに決めた家のように、家財道具を残しながらも空き家バンクに登録されるケースが見受けられる。そしてなかなか居住者がつかないまま掲載を続けている。

そりゃそうだ。片付けは大変だ。新生活のスタートが片付けに忙殺されるのを望む人はいなかろう。しかしその苦労を買っても良いくらいに立地や家が希望に合致する場合だってある。僕の家がそうであるように。まあ、片付けも嫌いではない。大変だけど楽しい。しかしやはり時間もかかる。周りからは仕事の心配をされる。

全ての地方自治体は空き家入居後の片ずけ助成金を出すべき

サブタイトルが全てを語っている。全ての地方自治体は空き家へ新規入居することとなる人にも片付けの助成金を出すべきだ。

そうすれば「片付けないと買い手がない」、だから「IUターンが増えない」から、
「片付けなくても買い手がある」へと状況を一変することができるかも知れない。

そうすれば、僕が選んだ家のように残置物に溢れた家だって買い手が見つかる可能性が増すだろう。僕はそもそも片付けの助成金があることを見越してこの家を選んだ訳ではないが、結果かなり助かることは言うまでもない。

なにせ処分品の量は想像以上だ。壁際や押入れに寄せてあった荷物を引っ張り出すと、こんなにあったのかと驚く。そして大抵、家具などの大物や、食器類、マットレスや布団、家電リサイクル法に適用されるテレビや冷蔵庫、挙句の果てには農薬といった、処分するのに手間もお金もかかるものばかりがが残されている。必要なものや使えるものの多くはすでに前の所有者が持っていっている。だいたいそう言うものだ。

結果、予想以上にお金も時間もかかる。

おまけにこの度の乾燥機のような大物が残されている可能性だってある。戦後を生き抜いた現在の高齢者世代はなんともパワフルで豪傑だから何が残置されているかわからない。

因みのその乾燥機は朝から日没まで作業をしてやっとここまで分解することができた。

こんな片付けライフも、助成金がでるなら立ち向かえる人が出てくるはずだ。

田舎の古民家は、集落の数の多いところ、少ないところ、川沿い、山の上、谷筋、平野、畑
田んぼの面積、雑木林の有無、水は山水か水道か、なんかを考慮すると、都会のマンションよりも一期一会的要素が強いように思う。だからこそ、家は気に入ったのに片付けが大変という理由で引っ越せない人がいるのは惜しい。言い換えると、片付けの助成金さえでれば頑張って引っ越してみようと思える家が次の居住者を静かに待っているかもしれない。

多くの古民家が朽ち果てるのを待っている

空き家対策は急を要する。時間がない。

「住めるはずだった家」が次々に「住めなくなった家」へと変化していく。

そうなる前に、空き家が市場に出るのを促す必要がある。

空き家の補修も片付けもしなくていいから、とにかく空き家バンクに登録してもらうのだ。

新規居住者が受けられる片付け補助金はそのような状況を促進させることになろう。

さらに言えば、家の片付けや補修などに数百万かかるところを、現状のままで良い代わりに殆どタダ、ないしは安価な値段で買い手を募ってしまうような取引も、もっと盛んになるべきだ。

「売る側は何もしなくていいですよ」「買う側がすべてやりましょう」そういうスタンスだ。

買い手はタダ同然で手に入れた家を、時間を掛けて出来るだけ自分の力で補修する。世の中にはお金をたくさん持つことに幸せを見出している人ばかりではない。

「金はないが時間はある」

そんな人と空き家とをマッチングさせる。しかも彼らはその時間を楽しんで古民家改修に費やすだろう。

そしてそれを可能とするためには、家の状態がそれなりである必要がある。流石に屋根に穴があいていたらちょっとキツイ。

だから急がないといけない。

田舎の景観は古い家が立ち並ぶことで一層際立っている。ここ島根の農山村は美しい。これらが都会的なハウスメーカーの家に変わってしまったら、そんなにつまらないことはない。そして多くの価値を失うことになるだろう。

だから急がないといけない。

だから、

「売り手が家を準備する」のを促進するのではなく
「買い手がどうにかする」のをフォローする制度、

そして

「家とお金を交換する」のではなく、
「家と時間を交換する」へと視点を変える。

まあ、だいたいこんなようなことを考えながら乾燥機の解体をしていた。

最後に補足すると、古民家は数百万払えば家がしっかりしているとは限らない。床を剥がしたら、屋根裏に登ったら、蓋を開けたら、思いもよらない欠陥があるかもしれない。

だからあながち500万が高いわけでも、タダが安いわけでも無い。家の改修をプロに頼んだら数十万、数百万かかるかもしれない。

ここでの価値は市場ではなく、価値観が決める。だから面白い。なにせ、僕の新居は10億円の豪邸との選択を迫られても今の家を選ぶほどに価値を見出しているからだ。

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百姓2.0/自給リスト(自足に限らず);野菜、米、塩、味噌、建築、トイレ、経済、国家、獣肉(拾い物)、書籍、映像、音楽 etc /自著『旅をふりかえる旅』https://amzn.to/2Wb1mNs、『下らない生き方』https://amzn.to/2ZEjgKf /
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