古民家の囲炉裏を再生。調理も暖房も直火の囲炉裏暮らしを開始。

「いつか囲炉裏のある家で生活するのだ」というのが僕の密かな目標の一つであった。

おそらく囲炉裏というものを本格的に意識し始めたのは、日本のビートとヒッピーカルチャーの草分けであるナナオサカキ氏の詩『十一月の歌』の朗読を聞いた時だと思う。久しぶりに彼の詩集『ココペリの足あと』を開いてみる

ランプの下 コナラの炎
囲炉裏かこんで よもやま話
柿の皮むく 秋の夜なが
『十一月の歌』より

今、そんな囲炉裏を囲んだ暮らしが現実化している。島根の古民家に移り住んで、居間の床下に眠っていた囲炉裏を再生したのだ。その囲炉裏は最後は掘りごたつに改造されて使われていたようだった。

そして驚いたのは、引用した『十一月の歌』の通り、僕はその囲炉裏の側で柿の皮を剥いている。まさに秋の夜長の十一月に。作るは干し柿。すでに300個ほど吊るしている。まだある。敷地内にたくさん柿の木があるのだ。なんと芳醇な暮らしだろうか。

この詩は山暮らしについて多くのことを教えてくれる。コナラは火持ちがよいだけでなく、老樹になる前に伐り倒すと株から新たに四本も五本も生えてくる。クヌギもそう。それを2本ほど残して20年もすれば再び伐るのにふさわしいほどに成長する。こうやって里山は循環利用されてきた。

まだ移住してすぐだからコナラの炎を味わえるのは来年だろうか。コナラは椎茸の原木にもなるからそろそろ何本か伐り倒そうと思っている。

さて、前置きはこれくらいにして、囲炉裏再生の過程を以下に記そう。囲炉裏の再生にあたって参考にした書籍は大内正伸氏の『囲炉裏と薪火暮らしの本』。これは囲炉裏に興味のある人は必読の書である。

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とりあえず掘りごたつを解体

畳の下(といっても常にこのまま生活しているのだけれど)は囲炉裏の部分だけ床板が外れるようになっている。

開けてみると掘りごたつ。初めてこの家を見にきたとき、これは囲炉裏にできるはずだと1人高揚したのを覚えている。元々は囲炉裏だったに違いないのだから。

ベニヤとレンガが簡単にハマっているだけだったので、サクッと取り外す。おっとベニヤ板を外した写真がない。

とりあえずこの段階で囲炉裏の排煙のイメージを掴むため、バーベキューコンロを置いて使って見た(笑)。うん悪くないぞ。

排煙のために天井は板が外れるようになっていた。

床板を外して全貌を確認

さて全貌を確認すべく周囲の床板を外してみると、コンクリートで作った枠を外側から粘土で固定しているのがわかる。土台は当然石で組んである。粘土はだいぶ劣化してヒビが入り、コンクリートから剥がれてしまっているので再度やり直す必要がある。

しかも元々の一番最初は長方形のなかなか巨大な囲炉裏であったことが下の写真からわかる。それをその2/3位の正方形にリサイズして使っていたようだ。ひとまずは床板の関係上、この正方形サイズで再生することとする。

それにしても床の大引きや根太の構造が補修補修でジャングルのように入り組んでいるし、腐っているところもあってそこが動物の巣になったりもしていたので、これはこれで大仕事が待っているな。

土を剥がして練り直す

今にも剥がれそうな箇所から粘土を剥がして練り直す。囲炉裏の周辺にも粘土が剥がれたのがゴロゴロ落ちていたのでこれらも拾い集めて再利用する。どこか使わない場所の土壁を剥がしでもしないと素材が足りないかと思っていたけれど、これで十分そうだ。下の写真の粘土はその一部。

これを細かく砕く。本当はふるいにかけた方が良いのだろうけれど、まあいいや。スコップとクワと素手で細かくした。

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これに水を入れて

満遍なく捏ねる。本当は素足の方が水分量とかも分かって良いのだけれど、流石に寒くなってきたので横着して長靴で。機械がなければ足が最強だと思う。

参考にした大内さんの図書によると、古い土壁などの粘土を再生する場合は切り藁を追加すると書いてあったが、藁がないのでそのまま使うことにした。おそらく藁がないために粘度が乾いたときにヒビが入ってくるだろうが、それは随時補修しよう。

粘土を塗りつける

囲炉裏の周囲の隙間という隙間は粘土で埋めなくてはならない。

初期状態では大きな隙間がたくさんあったので、家の周りや床下に転がっていた石やレンガを間にはめ込んで、そこに粘土を練り込むことにした。

粘土はハンバーグを作るときのように両手の間でポンポンと空気を抜いてから押し付けるように塗りつけていく。綺麗に塗れなくても、水で湿らせた手のひらでコテのようにして表面を均してやれば良い。

とりあえず塗り終わったが、前述の通り乾いてきたらヒビが入るだろうと思うから、補習用に少しだけ粘土をとっておく。

灰はまだだけど、試しに使ってみる。深すぎて使いにくい(当たり前)。なのでかさ上げしないといけない。

今回の粘土仕事について

この粘土仕事はかなりテキトー仕事であろうと思う。それなりに時間に追われていたのもあろうが、これは僕の性格によるものと思う。多分僕よりテキトーにやることは難しい(笑)

左官仕事というよりも田んぼの畦塗りだ。

それでもそこそこ形になっているので、囲炉裏作りや土壁塗りに挑戦しようとしている人は、安心しても良いと思う。やればできる。

色々自分で家を直したりなんだりしていて思うことだが、大抵のことはやればできる。出来ないだろうと思っていても、結構できる。

それでも「言うは易し行うは難し」というのも事実。しかし行ってしまえばどこかで解決策が見つかる。勝利は行動を起こした者の下にある。考えている暇があったら、手足を動かしてしまった方良いケースが多い。

粘土の補修&石と土で嵩上げ

翌日、早速粘土の補修と補強をする。以下の写真のようなヒビも

水で濡らした指で強く擦り付けてやれば消える。隙間まで粘土を押し込むようなイメージで。

そのほかの部分も、水だけ、または残しておいた粘土を使って補修と補強。全体的にも濡らした手でならす。多分この後もヒビは入ると思うのでその度に補修と補強を繰り返していこう。次は土壁を剥がさないといけないかな。

そして嵩上げ。まずは拾ってきた石を入れる。家のまえの道に石がゴロゴロしていて歩きづらかったからちょうど良い。

ここに、灰、と言いたいところだけれど、そんなにたくさん貯まっていないので、土を入れる。これは家の裏の芋穴(芋の保存用の洞窟)の入り口を塞ぐように積もっていた石灰岩と真砂土が混ざったようなもの。

この上に少しづつ貯めていた灰を敷く。これから灰が貯まってくるのを考慮して少し深めに設定しておいた。囲炉裏は深すぎると作業性が悪く熱が上がってこない、浅すぎると灰が飛びやすい。7〜13cmがちょうど良いようだ。そして鍋置き用にレンガを近くに置いてみる。

早速調理!

囲炉裏上方から鍋を吊り下げるための自在鉤もまだ作っていないし、五徳もないので、とりあえずレンガと網を使うことにする。

まだ嵩上げに使った土の湿り気もあって灰が湿ってくる(囲炉裏に入れる前に天日干しすればよかった)。それに薪の調子が良くないと煙も余分に出るが、とりあえず最高としか言いようがない。しかもこの日は我が家にインターネットも開通したので、世界がガラッと変わることとなった。

我が家はまだまだ冬対策は未熟で、隙間だらけなのだが、囲炉裏のおかげでかなり暖かくなった。やはり直火の熱は気持ちが良い。薪ストーブなどのように鉄板で遮断されているのとは一味違う。

それにかなり省エネである。火の番が増えはするが、細い枝だけを使用しても十分に料理と暖房として機能する。薪ストーブならあっという間に燃え尽きてしまうだろうが。

引っ越してまだ間もない薪の準備ができていない状態においてこれは強みだ。枝なら乾いたものが家の周りにたくさん落ちている。あとは立ち枯れの木を伐採するなどしてどうにかこの冬を乗り越えていこう。

まだまだ囲炉裏関連のカスタマイズもたくさん残っているので、随時この場で公開していきたいと思っている。

何はともあれ、火を燃やすというのは人間の根源的な幸せであると再確認している。

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百姓2.0/自給リスト(自足に限らず);野菜、米、塩、味噌、建築、トイレ、経済、国家、獣肉(拾い物)、書籍、映像、音楽 etc /自著『旅をふりかえる旅』https://amzn.to/2Wb1mNs、『下らない生き方』https://amzn.to/2ZEjgKf /
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