五右衛門風呂の炉と浴室を素人仕事で自作

我が家に引っ越してきてから、この夏の終わりで3年が経とうとしている(2020年7月時点)。これまでは風呂なし生活だったため、近くの温泉に通ったり、夏場には太陽光温水器を使ったシャワーで凌いでいた。屋根などの工事がなんとか落ち着いたので、やっとのことで風呂場に優先順位がまわってきたのだ。元々あった風呂場はいろいろ問題があって全部解体してしまったので、いちから作り直さなければならない。

鋳物のホーロー浴槽を補修する

幸い古いホーローの風呂釜を頂いていた(それも2年ほども前に)。

なんとか一人で転がせるギリギリのヘビー級の鋳物製である。個人的にはちょい身長高めだし、円形の鍋みたいな浴槽じゃなくて割とモダンな長方形なのがありがたい。

しかし前所有者の方の解体の過程でそうなってしまったのだろうか、親指第一関節くらいの穴が空いていた。まずはこれを直さねばならない。

未経験の溶接の世界に足を踏み入れないといけないかと思っていたが、分厚いものの溶接となると力のある溶接機が必要なようで、それは高価なことを意味するし、そもそも鋳物の溶接はかなり高度であることがわかった。鋳物はムリという記述すらあったので、他の方法を探さねばならない。

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鉄セメントを使って鋳物の浴槽の穴を埋める

そこでたどり着いたのが、以下の鉄セメントであった。世の中には本当にいろんなものがあるんだと関心してしまう。我が家のような田舎のホームセンターでは普通に店頭にも置いてある。こんな古くて画期的なものが1000円以下で買えるのだから本当にありがたい。

パッケージも五右衛門風呂の補修の様子であるから、信頼できそうである。ただ、今回補修する穴のサイズが随分と大きいことだけが心配だ。それにしてもパッケージで風呂に入っている人のイラストが野人風過ぎてなんだか偏見を感じる。これが差別的であるという世論が形成される日はいつか来るのだろうか。

早速、水で練って穴につめる。パッケージの説明にある水とセメントの配合だと緩過ぎてしまうので、目分量にした。何しろ穴が大きいので硬めでなくてはならない。穴の前後から押さえながらコテでならしてやったらなんとか保持してくれた。

漏水テストは及第点

一晩置いて乾いたらグラインダーで余分なセメントを削り落として、漏水テストをしてみる。

どうもほとんど漏れていないようである。ほとんど、というのは背面から見ると、僅かに染み出しているからだ。写真ではほとんどわからないが、なんとなくテカリがあるのが見える。

隙間があるというより、セメントに水が滲みているのだと思われる。しかし、結露かな?というくらいのレベルまで漏水を止められたのは完璧とは言わないまでも、まあ成功と言っておこう。ダメで元々のつもりの施工だったので、こちらとしては御の字だ。

お次は湯を沸かして補修箇所の耐久性をチェック。加熱しても浴槽の側面はさほど熱くならないので、補修箇所に問題は起きなかった。幸い穴は浴槽の深さの半分より上であるから、お湯を贅沢に張らない、とか、補修箇所の外側にいつでもアクセスできるようにしておいて、問題が発生したら対処できる状態にしておけばいいような気がする。お湯がたっぷりだと気持ちいいが、薪を浪費するので質素なくらいがちょうど良いか。

このテストの日からすでに二ヶ月ほど毎日のように風呂に入っているが、今のところ問題は起きていない。上の写真のような超開放的な露天状態で一ヶ月も使っていた。人里離れた過疎の山村だからできる話である。

塗装やホーロー補修剤は保留

もちろん補修箇所に防水塗膜を被せることも考えたが、今のところ保留している。随分探したが、思い通りの商品が見当たらなかったからだ。塗料は塗料でも、防水で、耐熱性があって、肌に触れても大丈夫で、などとなるとなかなか。普通の浴槽用の塗料とかはあったけど。

また、コニシ社がホーロー補修剤を販売しているが、浴槽・浴室には使うなと書いてある。飲食物が触れる場所や直火にあたるところもダメだとあるので、おそらく肌が触れるところで使用するなということなのだろう。五右衛門風呂を多く扱っている店が、タフネスという名のホーロー補修材を販売していたが、高いのでやめた。先述の通り、問題が起きてないからいいのである。

廃材を駆使して風呂場造り

どうやって湯を沸かすのかについては、工事に至るまでに色々と悩んだ点である。薪の給湯器で湯を別で沸かしたものを浴槽にいれるほうが風呂としてはモダンだし、もういっそのことキッチンでもお湯が使えるようなセントラル給湯システムを自作してしまおうかとも考えた。そうすればそこからお湯シャワーを出すことだってできる。それに冬の暖房機能や、調理機能を加えて、、

とかやってしまって多機能だけど非効率だった!みたいなものが出来上がってしまうと困るし、何しろそれが壊れたら、生活がシャットダウンしてしまうようなものはリスクが高い。そんなわけで、やはり野外でそうしたように、直接浴槽を直火で熱することにした。そのほうが給湯効率も高いはずだし、熾火が溜まって湯温が保たれると知ったのも大きかった(そしてその通りだった)。

風呂場にするのは、かつては漬物貯蔵庫みたいな使われ方をしていたらしい場所。コンクリート土間になっているので、何かとやりやすそう。

土台に廃ブロック、廃瓦、廃土壁

まずは浴槽を設置するためのブロックを仮置きしてみる。元々はコンクリート基礎に使われていたものを自分でハンマードリルで解体したものなので、モルタルがくっついたまま。耐火レンガじゃないのかというツッコミがありそうだが、できる限り廃材を使った上で、要所だけ耐火モルタルを使うつもり。もちろん、お金をあまりかけたくないことの言い訳に過ぎない。

そしてまたしても廃材の再利用(ケチ)。解体した土壁を水で練り直してブロックの接着に使用してみた。家の裏に山のように積んであったが、ついに使い道がやってきた。屋根があって日当たりがよくないこともあり、なかなか乾かないのと、乾いたら乾いたでクラックが入るのが難点。日をおいて水で湿らせたコテで再仕上げしてやると少しはよくなる。

土壁には切り刻んだワラが混ざっている。そうすることで壁としての剛性を高めるわけだが、炉を作るのに可燃性の素材を使うのはまずいと思ったので、ふるいにかけて取り除いた。一度粗めにふるいをかけた後で、目の細かいふるいで仕上げると作業効率がいい。上の写真は仕上げ後。

浴槽の重量のかからない部分は廃瓦を再利用することにした。コテで叩いて振動を与えたり、目地用の先の細いコテも使用して、土をしっかり隙間の奥まで入れていく。

突然時間がワープして浴槽の土台となる部分がひとまず形になった。ここに浴槽をおいて、真ん中の切れ込みに薪を放り込んで火を焚く。ただ、このままだと土がすぐ割れて崩れてしまうと思われるので、のちに耐火モルタルで仕上げる。

写真奥に狂ったように瓦が並んでいるが、これは底上げが必要だったから。こうやって瓦を並べると結構強度がある。この部分が洗い場になる。

瓦を並べただけだと当然隙間だらけなので、土壁をふるいにかけたもので間を埋めた。ブロックを積む時は土を水で練ったものを使用したが、ここでは乾いたままの土を隙間に詰め込むことにした。濡れた粘土でこの広さの空間を敷き詰めたら、いつまで経っても乾かなくてカビっぽくなるのを懸念したからだ。

しかし乾いた土を隙間に入れるのもまた一苦労だった。サラサラな土でも、なかなか奥まで入らなかった。入りきったかと思っても、目地にコテ先を入れて揺らしてやると、砂時計のように詰まった土がしたに落ちる。そんなことを何度も繰り返した。これでペール缶何杯分だったろうか。。。側面だけは固定するために水で練った土を使った。

先ほどの瓦の底上げスペースに扉を設置。これもどっかから外してきたもの。左側が洗い場で右が脱衣所。ここまで1円も使っていないことだけは自慢しておこう。

洗い場にコンクリートを打つ

もちろん瓦と土の上で水は流せないので、洗い場にコンクリートを打つ。これが全くの初めての作業なので右も左もわからない。そういえば土壁の土を練り直したのも初めてだったが、あれは適当な感じでよかった。しかしコンクリートは適当なわけには行かないだろう。

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ワイヤーメッシュを敷く

まずはホームセンターで買ってきたワイヤーメッシュを敷き詰める。ここで初めてお金を使った。これでコンクリートの強度が上がり、ヒビの発生を最小限にできる。駐車場のように上に車が乗るわけではないからワイヤーメッシュはなくても良いかもとも思ったが、素人仕事でどこまで堅牢なものを作れるかわからないから、入れておいた。w2000×h1000で千円もしないわけだし。

また、ワイヤーメッシュはコンクリートの厚みのちょうど真ん中に位置した場合に最も効力を発揮するようなので、割った瓦を入れて高さを調整した。10cmの厚さでコンクリートを打つなら、5cmのところにメッシュが来るようにする。今回の施工ではコンクリートの厚さは7cmくらいを目指す。面積は大体ワイヤーメッシュ一枚分だったから、2平米。

コンクリートの分量と比率

で、いきなり完成。というのはゴム手袋をしているから写真が撮れない、そもそも撮っている場合ではなかったからだ。

使ったセメントは50kg、砂が100kg、砂利が150kgの合計300kg。比率は1:2:3。一般的な比率は1:3:6だが、セメントの比率が高いと強度が上がるので、その必要がある場合は1:2:3や1:2:4などにするようだ。

今回1:2:3を選んだのは風呂場で漏水するのは困るので、強度は高いに越したことはないと思ったこと。それと施工には一切関係ないが普通車なので荷物は300kgくらいまでが良いと思ったからだ。ホームセンターへの買い物を一往復で抑えたいというただの横着である。

この比率については色々と調べたが、それが重量比なのか容積比なのか結局よくわからなかった。いつも通っているホームセンターでは、セメントも砂も砂利も25kg入りのものがあったから、重量比ということにした。

コンクリートを打つ

これだけ量があるとかなりしんどいことが判明。こういうものは、やはりやってみないと分からない。

一度に混ぜる量は、それぞれ25kg入りの袋だったので、その4分の1の6.25kgのセメントに合わせて配合した。なので砂は半袋の12.5kgで、砂利が一袋半の32.5kg。水はセメント比で60%が一般的な目安のようなので、6.25リットル。

まずはセメントと砂を混ぜ合わせたところに、水を入れてさらに混ぜる。最後に砂利を入れてよく混ぜ合わせたら、型の中に流し込む。そして急いでコテで何度も何度もならして、再びセメントと砂を混ぜる。そのループを合計8回。

硬化後のコンクリートと硬化前のコンクリートは接着が悪いらしいので、休まず一気に作業を進める。一度に混ぜる量もちょっと多すぎたような気もするが、少なかったら少ないでコテの作業が大変だったかもしれない。いずれにせよ汗だくになって腰が砕けそうになりながらも、中断するわけには行かない鬼のような作業であった。

なんとか午前中いっぱいで駆け抜け、食後に再仕上げでコテをかけた。

水勾配をつける

体を洗ったお湯が洗い場に溜まってしまうと困るので、水勾配をつける必要がある。調べてみると1/100の勾配があれば良いらしい。これは100cmあたり1cm高低差があれば良いということだが、素人仕事で失敗する可能性があるから、1.5/100の勾配を目指して作ることにした。

しかし結果は失敗した(笑)

全体としては望んだ方向に勾配をつけることができたが、洗い場の中央あたりで水たまりができるのだ。モルタルを再度上塗りして勾配を作り直すこともできるかもしれないが、モルタルは割れやすいし、いつか割れるらしい。割れたら困るので、そのまま我慢することにした。一応デッキブラシを使えば水たまりは排水できるし。

排水溝の設置

勾配の一番低くなるところに、L字のエンビ管を埋め込んで排水路を確保。黄色い蛇腹からその先は仮設の排水溝。のちにちゃんとしたものを作るが、当座はこれで我慢する。

浴室の外から見るとこんな感じになっている。この後いかにスマートな排水溝にすべくかは、現在も考え中。

壁をモルタルで塗る

壁が土壁のままでは話にならないのでモルタルを塗った。モルタルとコンクリートの違いは砂利が入るか否か。セメント1砂3の普通のモルタルを使用した。

普通はラス網という金属のメッシュを下地にすることでモルタルの剥離を防ぐようだが、何を思ったか土壁に直接セメントを塗りつけた。セメントはいつか割れると言われるから他の方法はないかずいぶん考えたが、結局見つからなかった。

特に問題が起きる気配は今のところないが、大地震が来たら崩壊するかもしれない。モルタルには防水性がないので、最終的には防水塗料を塗る予定。

炉を完成させる

アサヒキャスターで耐火層を作る

ブロックと瓦と土だけでは高温だと割れてしまうので、表面に耐火モルタルを塗りつけた。本当は耐火レンガと耐火モルタルで分厚い耐火層を作った方が良いのだろうが、あるものはできるだけ使いたいというのが信条なのだ。何度も言う通り本音は節約だが。

使ったのはアサヒキャスターのCA-13Tという耐火モルタル。ピザ窯造りではこれしかないと言われる商品らしい。CA-13Tがコテ塗り用だが、CA-13Sという品番の流し込み用のものもあるので注意。内容量は25kg。Amazonで3500円+送料1000円で購入できる。まとめ買いしても送料は安くならない。送料をケチるためにホームセンターに注文してみたらカタログにないから無理と言われた。

ただ、ホームセンターに売っている耐火モルタルよりは圧倒的に安い。

非常に接着がよく塗りやすかった。これは素人でも扱いやすいだろう。一袋で底と側面を約1.5cmの厚さのアサヒキャスターで覆うことができた。この時、上記写真奥に写っているように、106mmのT曲の煙突を埋め込んだ。

ロストルと扉の設置

浴槽を設置してみる。前面の灰色が濃いところはただのモルタル。炉の手前に段差をつけるためにコンクリートブロックの設置の段階で一番下のブロックを少しずらしておいた。ここにロストルを載せる。

我が家に元から放置されていたバーベキューの鉄板みたいのがあったので、それをグラインダーで切断して、ドリルで穴を開けてロストルを自作してみた。もっと穴が大きい方が良いと思ったが、所持しているドリルビットの限界がこれだったのだ。厚みが3mmくらいある鉄板だから穴あけは一苦労で、いくら18Vのマキタのインパクトでも役不足だった。幸い、古道具屋で見つけた1000円くらいのマキタの古いドリルがここで役立った。

炉の扉も同じ鉄板で自作。鉄板の取手をそのまま扉の取手にした。縁が曲がっているのがかつて鍋だったことを思い出させる。溶接はできないので(いつかやろうと思ってるけど)ドリルで穴を開けてネジとナットで蝶番をつけた。扉の軸は鉄製のアングル。同様の方法で蝶番を固定したものを、モルタルで無理やり壁面に接着した。

炉の入り口が焦げているのは、煙突に不具合があったからで、現在は解決している。燃焼効率はなかなか悪くない。1時間くらいで熱々の風呂に入れる。

浴槽と土台の設置面の隙間から煙が漏れるので取り急ぎモルタルで埋めた。耐火モルタルじゃなくて良いのかいう自分ツッコミもあったが、まあ良いだろう。

飛び出しているのは純正の排水管。邪魔なのでゆくゆくは短いパイプに変更予定。そして最終的にはパイプも含めた浴槽の壁面下部にモルタルを塗りつけようと思っている。イメージはかまどのような感じ。写真の通り、瓦と土が剥き出しになっているし。しかしもうこの状態のまま風呂に入ってしまっているのであるが。

未完だけどもう使っている

壁もないし、水道もホースを引っ張ってきているだけ。でも風呂には入れる。とりあえずガラス建具で目隠しにした。風呂は明るい方が気持ちいいだろうし。

どうみても、浴槽と建具の平行があっていないのは、浴槽が傾いてしまっているからだ。土台は水平に作ったはずなのに、なぜこうなったのだろうか。排水管の接続部が隆起していたからそれが原因だろうか。こればっかりは後の祭りなので、仕方がない。

煙突もまだまだ途中。上むきだけだと天井に高温の排気が直接当たってしまうので、火事にならないように無理やり変な方向に強制している。

他にやることが山積しているので、工事はいったんここで保留。再開の際にはこの記事の中でアップデートしていくつもり。

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