2018年もそろそろ終わり。お正月が近づいてきた。お正月といえばやはりお餅だろうか。
と言っても個人的にはイベントごとにそんなに頓着していないし、明治に導入された新暦のニューイヤーより、旧暦の旧正月の方が日本文化としては本来の正月ではないかと思いもする。
どちらかと言うと今年初めて挑戦した稲作で、赤米のもち米を収穫したのでそれを搗いて餅にしたいのである。
道の駅で丸餅やかき餅なんかを時々買うのだが、それがとても美味しいだけに自分で餅を搗いて出来立てを食べられたら最高である。自家製だったら米粒が残ったような粗めの搗き方だってできるし。
そういえばそこそこの太さの檜を伐採してあったこともあり、臼を自作してみることにした。幸い我が家には杵はあるから、臼さえあれば餅搗きができる。
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使うのは直径40cmほどの檜
Amazonで臼を検索してみると、上質のものは欅(ケヤキ)を使って作られているようである。
なるほど、調べてみるとケヤキは丈夫な上に狂いが少ないようだ。しかもその硬さと同時に加工も割と容易らしい。広葉樹としては最高の木材だそうだ。
一方今回使うのは檜である。こちらも丈夫だし水にも強いから臼としては悪くないのではないだろうか。長さは50センチほどに玉切りした。幅は上部の細い方で最大40cmほどである。


それにしても臼というのはかなり高額なので驚いた。ケヤキではない安いものでも2万円はするし、ケヤキともなるとサイズにもよるが10万から20万円もする。
確かに大きな臼ともなるとそれなりの樹齢まで木材を育成しなくてはならないから、林業の衰退した我が国では良質な素材を確保するのも困難かもしれない。そもそも臼の需要だって右肩さがりだろう。餅搗き機もあるし。臼職人は絶滅危惧種だそうだ。
それでも僕の実家の町内会のように毎年餅搗き大会をしているようなところもあるだろうし、餅搗きのイベントにおける目玉感はいまだに衰えていないようにも感じる。
今年は友人の結婚パーティで久しぶりに餅搗きをしたが、なんだか日本人のDNAに染み付いているかのように燃えたぎるものを感じたものである。そういえば昨年のアメリカではみんな餅搗きに熱狂していたな。いやーあれは外国人ウケしないわけはないでしょう。
チェーンソーで穴を掘る
僕がイメージしていた臼の作り方は、チェーンソーの先端を使えばなでるようにして穴を開けられるのではないかということだった。
しかし、いざネットで調べてみると、なかなかチェーンソーのみで穴を開けるのは難しいようで、いくつかチェーンソーで切れ込みを入れた後は、ノミや専用の道具で削るなりなんなりとしているようだった。
木に穴を掘るなんていうのはなかなか普通の道具ではできないから、タイコ掘りちょうなというものを使うのである。
しかし僕はチェーンソーでもそこそこ穴を削り出せるのではと思ったのでぶっつけ本番やってみると、なかなか悪くない。

チェーンソーを下に向けて、上から覗き込むようにして削っていく。削っては少し移動して、また削る。丸太の周りをぐるぐると。結構いい感じにできてきた。

そこで気付いたのは僕のチェーンソーは充電式でしかも小型だから出来るのではないか。軽量なチェーンソーであってもなかなか腕が疲れる作業であるから、通常のエンジンチェーンソーだったら腕が持たないに違いない。
それに変な体勢で、しかもチェーンソーの先端で撫でるように削るものだから、時々軽くキックバックして冷やっとする。そして思いもよらない箇所を削ってしまう。そんなものは削って均せば良いのだけれど。
キックバックも小型のチェーンソーだから軽くあしらえるが、重たいチェーンソーをこんな無理な体勢で使っていればどこまで対応できるかはわからない。そもそもあまりチェーンソーを使い慣れていない人にはお勧めできる作り方ではないだろう。参考にされる場合はお気をつけて。
木の皮を剥く
チェーンソーを使うのに疲れたので、充電の合間に木の皮を剥くことにした。いやいやこちらも疲れる作業である。

幸い、伐採してから一ヶ月ほどしか立っていないため、まだ樹皮と辺材の間に水っぽさがあり、そこまで剥きづらい訳でもない。これも伐採したてで皮むきすれば、つるんと剥けるのであるが。
玉切りした切り口の断面から樹皮と辺材の間に鉈の刃を入れたり、樹皮に斜めに鉈を叩き入れたりしながらコツコツと剥がしていく。
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するとその途中がかなりカッコ良かったのでパシャり。

檜は火起こしに使われるゆえ、「火の木」を語源とする説があるようだが、もしかするとこの見た目によるものなのかもしれない。まさに燃えるような見た目ではないか。樹皮の薄皮と言ったらいいのだろうか、白い部分は、少し時間をおくと参加して黄ばんでくるので、この美しさはこの時だけである。
モノを作るとは、まるで壁画を別の絵で塗りつぶすライブアートのようであると思わせてくれる。作り手しかみることのできない美しさというものがある。職人が同じものを作り続けられる秘訣の一つがそこにあるのかもしれない。
とりあえず皮むきはここで中断。一度にやっても疲れるので、また思い立ったときにやろう。別にこのままでも使えるし。

最後はグラインダーで削ってヤスリがけか
再びチェーンソーで穴を拡大して、穴はこんなところで良いだろうか。これで一升くらいの餅がつけるのではないか。上の写真と穴のサイズが変わってないように見えるが、実際は結構掘り進んでいる。


しかしチェーンソーだけで滑らかな穴になるはずもない。写真ではわかりずらいが結構ガタガタなのである。これでは餅がくっ付いてしまうかもしれない。
専用のカンナかなんかがあれば表面を滑らかにできるのだろうが、どうも良さそうな道具は僕は持ち合わせていない。木で表面をこすったり叩いたりしてみたが、効果なし。
それにチェーンソーを使っているとチェーンオイルが吹き出してくるので、それが臼にかかるのを避けられない。僕は主成分が植物性の生分解性チェーンオイルを使っているから、鉱物油のものよりかはかなりマシだけれども、そこはちゃんと削りたい。
そろそろグラインダーが必要だと思っていたところだったので、調達してからこの後の作業を続けることにしよう。
本当は完成してからブログにアップしたかったのだが、12月も半ばなので、僕のように臼を突然作りたくなった奇特な人の参考になると思い、掲載することにした。完成したら更新することにしよう。
グラインダーを手に入れてやっと完成
年末の餅つきに合わせるようにネットでグラインダーを購入。チョイスしたのはマキタの18V充電式。チェーンソーもマキタの18V充電式を使っているので同じバッテリーを使いまわせて便利なのです。

充電式はコードに煩わされることなく自由に動き回れるのが何より便利だ。何しろ安全度が比べ物にならないほど高い。ヒノキのいい香りの粉塵を身体中に浴びながら削る削る。
使用したディスクは木材研削用で番手は100番。実は研磨の為のより目の細かいものも購入しておいたのだけれど、十分滑らかになったのでこれで済ませることにした。


僕はラフな仕上がりの方が好みだから、餅つき本番に餅がくっついて困るようなことがなければ十分。自然の造形を残し、手作り特有の歪みがあって、何か欠落しているような芸術が好きなのである。というのを、詰めの甘い仕事の良い言い訳にしている。

これで餅つきまでに臼を完成させることができた。しかし12月28日現在、こちら山陰地方山間部はなかなかの雪である。このまま降り続けると餅つきが中止になるかもしれない(笑)。まあ、それはそれだけど。
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コメント
突然すみません。
このような木臼を作る際に、上部に縞模様ができる素材というのはあるのでしょうか?
画像を見つけたのですが、それが何かよく分からないものでして…
コメントありがとうございます。ご指摘の「上部に縞模様ができる素材」の画像が掲載されているWebページのリンクを教えていただければ、拝見した上でご回答できるかもしれません。よろしくお願いします。
檜の臼で お餅は作られましたか?
はい。何度も餅つきしました。正月はもちろん、知人が訪ねてきたときは、餅つきをすると盛り上がるのです。何しろ、つきたての餅は最高ですし、自宅だと、玄米餅や好みの精米具合の餅も自由自在です。