天気予報とにらめっこしながら、連日屋根工事をしている。
そこそこに瓦を剥がして、その下の土と杉皮を取り除いて、雨漏りによって腐った野地板と垂木を交換して、オンデュリンの波板を葺く。
という作業を、黙々と繰り返している。
さて、屋根工事をするにあたっては、その高さや規模などにかかわらず、それなりの安全対策が求められる。ちょっとくらいの作業だから良いだろうということはないし、プロの皆さんが事故にあうのもほんの僅かな気の緩みからだろうし。
安全確保ができていると足元がいかに不安定でもビビらなくなるから、余計な心配も力みもなく、作業に専念できる。
かといって厚生労働省が作成した高所作業の安全基準に準拠しようとしたら、装備代がいくらかかるか分からない。プロの屋根屋ならいざ知らず、しょっちゅう屋根工事するわけでもないのでそんなに予算もかけず、かつ十分な安全を確保できる方法を模索してみた。
使用している安全器具
・ロープ2本
・ロープスリング2つ
・ハーネス
・カラビナ3個
・ヘルメット
・防滑シューズ
屋根工事のロープワーク
ロープワークというほど大仰なものではないが、僕は2本のロープそれぞれにロープスリング(ロープで作った輪っか)によるクレイムハイストというフリクションヒッチを利用して安全を確保している。
下の写真は屋根の棟で撮ったものだが、2本の白いロープそれぞれに緑のロープスリングでクレイムハイストを作り、カラビナを介してハーネスに繋いでいる。

クレイムハイストの結び方はプロの方のページを参考にしていただいた方がわかりやすい。Kuri Adventuresさんのサイトを参照。
ロープスリングを作るには、ダブルフィッシャーマンズベンドを利用。これもKuri Adventuresさんのサイトがわかりやすい。
ダブルフィッシャーマンズノットの結び方~ 登山のロープワーク ~
ロープは下図のように一階部分の軒を支点にして、棟を超えて反対側に渡している。屋根の右側で作業するときは赤いロープをハーネスに繋いで、左で作業するときは黄色に繋ぐ。そうすれば屋根から落っこちても、宙吊りで済むという事になる。
上の写真のように、ロープもスリングも同じ色のものを使っているので、間違えないように一方のスリングには赤いテープを巻いている。

ロープは一階部分に以下のように支点をとっている。ロープ末端の輪っかとカラビナを使って固定。こうすれば支点の移動が楽に済む。


ところでクレイムハイストという結びは、下の写真で言うところのグリーンのロープスリングに落下方向の力がかかっても白いメインロープにガッチリと固定されて動かないのだが、クレイムハイストとメインロープの結びの部分を掴むと上下に動くようになっている。

メインロープは常に支点からしっかり張って、転倒などしてもすぐさまロープスリングによって確保される位置にしておく。屋根を移動する際にはクレイムハイストの結び目を少しづつズラして、可能な限り落下を小さくするようにする。これさえ心がけていれば、誤って足を滑らせたりしても、地面まで落ちると言うことはない。
ちなみに僕が使っている装備は、極力、屋根工事以外にも使えるような汎用性の高いものを選ぶようにしている。またの名をありあわせとも呼ぶ。
使っているロープはクレモナロープと綿ロープ(綿は天然素材のメリットはあり、マイクロプラは放出しないがやっぱちょっと弱い)。普段はトラックの荷造りなどに使っている。
ロープスリングに使ったのはもう何年も前にモンベルで買った8mmの細引き。ここにきてまた出番がきてよかった。
カラビナは1つ足りなかったのでロックテリクスのプリーカラビナを買い足した。
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ハーネスはブラックダイヤモンドやぺツルなどのクライミング用を買おうかと思ったが、屋根上は釘などの突起物も多いので、無骨でヘビーデューティーな方が良いと思って以下のものを購入した。ぺツルもこういったワーク用のハーネスもラインナップしているがかなり高価なので諦めた。
万が一の落下の為のヘルメットは墜落時保護用であることは要チェックである。
地下足袋は案外瓦の上は滑るので、屋根用の防滑シューズをオススメしたい。
あとは、瓦屋根の解体にあたって、漆喰や屋根土を除去するときにものすごい粉塵が舞うので、僕は防塵マスクをつけている。呼吸器に対する高い防御力はもちろんのこと、僕はメガネをかけているが、こういったマスクはメガネが曇らないので本当に助かるのだ。
ちなみに表題にあるオンデュリン波板とは以下のようなものだ。天然繊維にアスファルトを染み込ませたもので、2000×950の大判サイズで2000円程度となかなかに安価な屋根材である。一部のホームセンターでは取り寄せも可能。その方が安価だが、以下のお店なら自宅まで配送してくれるのは魅力的。オンデュリン専用のパーツは以下のお店を利用させていただいた。
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