DIY

割れてしまった鉈の柄を自作する

古びた斧の柄を
手斧を使って成形していると
エズラ・パウンドのフレーズを
ふと思い出した

「斧の柄を作るとき
形状は大体決まっているもんだ」

Gary Snyder, “Axe Handles”より拙訳

鉈の柄が割れる

古民家に取り残されていた古い鉈の柄が割れてしまいました。緩む刃を針金や釘、テープで応急処置されて(して)きましたが、ついに日々のハードワークに耐えかねて、どれほどの汗と手垢を染み込ませたかわからないその古い鉈の柄は割れてしまいました。

僕は日々の薪作りのほとんどをこの鉈に頼ってきました。

径の大きい割るなら大きな斧の出番ですが、一人で作業しやすいサイズの木材を集めると、手斧や鉈で十分なサイズであることが多いです。しかし、鉈に慣れてしまうと最早、手斧ですらも億劫になります。鉈の軽さと取り回しの良さは、手斧にすらありません。手斧でも重い。

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日々の薪割りは鉈

椅子に腰掛けて、薪に鉈の刃をコツッと入れて、それを薪割り台に叩きつけるか、木の棒を鉈の峰に叩きつけてバトニング。クサビを叩き込むようにして薪を割ってやる。

バトニングの方が疲れないし、割れた薪も飛んでいきません。かなり堅い木でも大体割れます。薪の木口がガタガタで不安定でも安全に割れます。

直径10〜15cm位の木材は鉈で玉切りしてしまうから、木口はガタガタ。疲れるけど楽しいんです。静かな山に、エンジンの音は必要以上にいりません。似合いません。

しかし、バトニングは刃物にもダメージを与えます。ナイフによっては刃が折れる恐れがありますし、鉈の峰も少しづつ潰れていきます。それだけ強い力が加わっているわけです。

恐らくその積み重なった衝撃と、元々の経年劣化が合間って、古びた鉈の柄は割れてしまったのでしょう。鉈はその叩き割る用途から重心が先端部にあるためか、タング(なかご)と呼ばれる柄に包まれた金属部があまり奥まで埋まっていません。そのため、バトニング によって柄および、柄となかごを繋ぐ目釘にかかる力はとても大きかったと考えられます。

とにかく鉈がないととても困りますので、早速、柄を自作することにしました。

鉈にも共柄(ともつか)と呼ばれる、柄をつけることなくタング(なかご)そのものに綱などを巻いてハンドルとしているものがあるので、そのうち一本入手したいとは思っています。使い方が乱暴なので・・・というより、それなりに乱暴に使いたいので。

鉈の柄を作る

材料と道具

鉈の構造はいたってシンプルです。

「刃」と「柄」と、両者を留める「目釘」と、その境を締める「口金(くちがね)」です。

柄は材木置き場にあった木の杭を代用することにしました。木の質感を活かして、そのままでもにぎり易い物をピック。樹皮が赤くてかっこいい。ヒメシャラのようですが、なんの木だか分かりません。通常、鉈などの柄には丈夫な樫のような木材が選ばれますが、桜などで作っている人もいるし(桜もまあまあ硬い木ですよね)、試しにやってみました(後に痛い目にあいますが)。

使った道具は

・木を削るための、ナイフ、小学生の彫刻刀、ノコギリ、ヤスリ
・口金や目釘を打ち込むための、ハンマー、釘、ドライバー、ネジ
・印をつけるための鉛筆に定規

ノミなんかもいくつか用意してみましたが、結局のところは北欧タイプも小刀(プーッコ)をメインで使用して、深く削る部分に彫刻刀を使うくらいでした。

柄作りスタート

次に思い出したのは、
西暦4世紀に中国の陸機によって書かれた『文賦』
ー『Essay on Literature(文学についてのエッセイ)』
その前文に書かれている言葉
「斧で木を削り出して
斧の柄を作るとき
参考にすべき型はまさに手元にある」

Gary Snyder, “Axe Handles”より拙訳

今回の鉈の柄作りは鉈を使ってするわけではありませんが、やはり、もともと付いていた割れた柄は大変参考になります。それを傍に置いて、作業を始めます。

口金挿入部を削る

まずは柄の一方に口金を入れるための型取り。取り外した口金を柄に当てて、内径を鉛筆でなぞります。口金の挿入部の深さにも印をつけたら、鉛筆削りの要領でナイフで削っていきます。

口金を柄に押し当てて内径をなぞる
この線より内側を削り過ぎないように慎重に
足部にも口金の深さに合わせて印をつける

口金がブカブカになってしまうといけないので、だいぶ保守的に、鉛筆の跡を余分を持って残すようにしながら、時に口金をはめてみたりしながら削っていきます。口金が強くはまってしまっても、ハンマーで叩いてやれば取れます。

ナイフ一本で直角も綺麗に
なかごの溝を掘る

概ね口金のあたりが完成してきたら、次は鉈のタング(なかご)を埋め込むための溝を掘っていきます。削り出す前にタングを柄に当てて型取り。

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もともとついていた柄は、刃の側も峰の側も開いており、それこそ柄の上部からV字にノコギリで切り込みを入れたような形状になっていましたが、それでは金属部を挟み込むだけとなり柄の強度が落ちると思ったので、一方は開いて、一方は閉じた溝を掘ることにしました。ナイフと彫刻刀があればエグルように削り出せますので(その代わり時間はかかりますが)。

溝掘り終了。目釘の位置も印をつけた。

目的の深さまで到達したら、目釘を打ち込む場所に印をつけます。これを素人の道具でやるのは難しいですが、僕は鉈と柄を合わせた状態で溝に定規を差し込んで、目釘を入れる穴の距離を測って、外側から印をつけました。

最初から任意の場所に目釘の穴を開けておく方が採寸としては間違いないように思います。そしてそれから目釘が入るようになかごの溝を掘ります。

ただ、僕は、金属部と木部がぴったりくっついた状態で目釘を打ちたかったので、まず、溝を掘ってから、最後に目釘の位置を決めまることにしました。

元々の柄にあったように、刃の方も峰の方も開いた形でV字に切れ込みを入れてしまうスタイルで作れば、最初から目釘の穴を開けてしまっても良いのかなと思います。

人によっては目釘の穴を鉄で埋めてしまったり、新たに別の場所にドリルで開けたり、勘を頼りにしたりするそうですが、皆様のお手持ちの道具で、創意工夫してトライするのが良いと思います。鉈の柄なんぞいづれまた壊れますから実践あるのみです。

柄に目釘の穴を開ける

印をつけたら目釘の穴を開けていきます。割れないようにキリで下穴を開けていきましたが、作業の途中でキリが壊れてしまいました。

電動ドリルもないしどうしようと思いましたが、そこで思いついたのが、細めのネジをドライバーでねじ込んでいくという方法。徐々にネジの径を大きくしていけば、柄が割れる心配なく、下穴を開けることができます。

最後は釘を打ち込んで完成。

余談:早速柄が折れる

何度か薪割りをして、バトニングもしてみた上で、強度テストに合格したと思ったのですが、裏山で直径20cmくらいの倒木を叩き割ろうと全力で鉈を振るっていたら、目釘と柄の結合部があっさりと割れてしまいました。

失敗1

やはり柄は丈夫な木でないとダメです。

失敗2

柄をあまり削らないようにするために、溝を浅くした結果、目釘の位置が柄の中心になっていませんでした。これでは強度は落ちますね。しかも、溝の開口部が峰側だったのも失敗。次回作るときは刃の側に溝を掘って、鉈に加わる衝撃を柄が支えられるようにしないと。

早速2作目

鉈が使えないと困るので、なんとなしに薪棚を物色しておりましたら、タイミングよく面白い形をした樫の枝が出てきたので、早速再チャレンジ。

何かと握りやすく、見た目もカッコ良い鉈に生まれ変わりました。

余談2:刃のグラつきを補修する

使っていたら少し刃が緩んできたので、楔の要領で刃と柄の隙間に釘を打ち込みました。元々のそのように補強されていたので真似てみたのですが、これで再びブレがなくなって安定しました。

ちょっとボケてて見づらいですが、楔の要領で釘を打ち込んでいる

参考にすべき型はまさに手元にある

Gary Snyder, “Axe Handles”より拙訳

まさにその通りでした。

余談3:割れた柄は箸とさじにリメイク

新しい柄ができた以上、古い柄は薪にして燃やしてしまおうと思ったのですが、折角長い間、人の暮らしを支えてきた鉈のハンドルですからリメイクしてお箸2膳と茶さじ2本にしました。

自分たちで使う分なら少し不格好でも全く問題ないですしね。実用の美です。

今回の作業でナイフ捌きは上達するし、木工細工が一層好きになりました。世の中には柄を失った古びた刃物がたくさん眠っています。そんな刃物たちに柄を付け、刃を研ぎあげて、新たな生命を吹き込んで行きたいですね。

さて、次は何を直そう。

参考文献
Gary Snyder, “Axe Handles” from Axe Handles (North Point Press, 1983)
POETRY FOUNDATIOINより

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百姓2.0/自給リスト(自足に限らず);野菜、米、塩、味噌、建築、トイレ、経済、国家、獣肉(拾い物)、書籍、映像、音楽 etc /自著『旅をふりかえる旅』https://amzn.to/2Wb1mNs、『下らない生き方』https://amzn.to/2ZEjgKf /
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