コンポストトイレを作って日々の汚物を堆肥化する

これまで3ヶ月の間、コンポストトイレの為の小屋作りに励んできたのだが、コンポストトイレそのものはシンプルなのでそんなに難しいことはない。

コンポストトイレに必要なものは

・用を足すためのバケツ
・便座
・汚物をカバーする有機物
・コンポスト(堆肥枠)

これだけ。

是非、世界中の皆さんに導入してほしいシステムである。

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汚物は資源であってゴミではない

なぜなら汚物は堆肥化して土に還っていく貴重な資源。ゴミではないのだ。同じ文脈で生ゴミや紙ゴミも堆肥化できる資源である。そしてそれは植物を育む貴重な栄養となる。ゴミなんて言葉ははなはだ似合わない。

もともと屎尿は自然界において貴重なエサとして次なる生命へと繋がっていくもの。終わりなき循環の始まりとして虫や微生物、菌類を育み、動物たちも食べる。肥沃な大地は豊かな森を形成し、豊かな森は水域を健康にする。

一方、現在の僕たちの社会はどうか。水洗トイレの水を流して何処かに消し去って、そのあとは知らん。こんな常識がまかり通っているのではないだろうか。

トイレの水に流された汚物は下水に乗って海に行く。大地に還されるはずだった栄養素を捨ててしまっているのだ。そして足りない栄養素を化学肥料で賄っている始末。それで食糧危機なんて言葉を使っていいのだろうか。

汚物を含めた排水は浄化される中で、薬品も使えば、エネルギーも使う。巨大な下水インフラも必要だし、そもそもが十分に浄化されていない。だったら川も海ももっと綺麗だ。この辺の日本の事情は僕ももっとリサーチしたいところだ。

江戸を支えた下肥(しもごえ)

関東ローム層の不毛の大地において巨大都市江戸の人口を支えることができたのは、汚物を畑に還して栄養豊かな土を作っていたからと言われている。それによって100万都市へと膨れ上がっていた江戸の人々を賄うだけの野菜を生産することができたのだ。

そのため汚物は高値で取引されており、興味深いことに大名など普段から良いものを食べている人の汚物は価値が高かったそうだ。確かにうんこには食べ物の未消化物が含まれているから、犬たちも好んでうんこを食す(そう言えば、「私のご飯を食べないで落ちてるうんこを食べる」と嘆いている女性がいた)。

とはいっても未消化物は全体の5%ほどで、60%は水分、15%前後づつを、腸壁細胞の死骸と腸内細菌の死骸が占めている。栄養状態が良くて健康な腸内を備えている人ほど腸内細菌の死骸が多く、うんこも大きくなるわけだが、これらが栄養満点だろうことも想像に難くない。

話を戻すと江戸では汚物を堆肥として再利用していたため、巨大な人口を支えながらも、街を清潔に保つことができてもいたのだ。一方で同時期のフランスなんかでは窓から汚物を棄て、それを避けるためにハイヒールを履いている。

しかし屎尿をそのまま畑に返すとどうしても病原菌の問題が出る。だからかつての日本では生野菜は食べなかった。サラダ文化が日本に入ってきたのは戦後のGHQ統治時代。彼らGHQの物言いにより下肥が禁止されていったという話である。

しかし屎尿はしっかりコンポストで堆肥化されれば人間に影響を及ぼす病原菌を全て死滅させることができるのだ。それにかかる期間は2年。詳しい話は別の記事を書きたいと思う。

トイレを作る

まずは便器

便器と言ってもただの木の箱。中にバケツを入れることができて、便座が乗ればなんでも良い。

素材が不足してきたので側面も隙間だらけ。

しかし、ちゃんと管理されたコンポストトイレは匂いとも虫とも無縁なので隙間だらけで良いのだ。問題が生じたならばちゃんと管理されていないと言うこと。

バケツを入れるとこんな感じ。

一般的にはペール缶が隠れるように扉をつけるものだが、別に見えていてもいいし、ちゃんと管理されれば虫も匂いもない。これは何度でも言おう。

便座を作る

最初は分厚い一枚板か、太めの間伐材から便座を削り出そうかと思ったが、そんなことしなくてもありものの板でどうにかなりそうだと気がついた。ちょうど少し分厚目の板があったのだ。

これらを釘で便座風な形に組み合わせる。

そしてノコギリとナイフでお尻にフィットするような形に削り出す。

手持ちの道具だけだとお馴染みの丸っこい形にするのはものすごい大変だ。サンダーなんかがあれば一気に滑らかな便座にすることができるだろうが、今回は使わないことにしている。て言うかサンダー持ってないし。

まだまだ納得の座り心地とは程遠いがとりあえずはこれでトイレとして稼働してみようと思う。

便座は蝶番をつけて跳ね上がるようにしようと思っていたが、置くだけで安定したのでこのままでいいや。

セッティング

これでトイレは完成したのであとはセッティングのみ。

箱の上に便座を乗せて、ちょうど良い位置にペール缶を置く。

トイレ小屋に入れてみる。

ペール缶にはまず有機物を入れておく。ここに用を足す度に汚物が完全に隠れるように有機物でカバーをする。

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ここに適している有機物は

鋸屑
泥炭(ピートモス)
腐葉土
籾殻
などだ。

鋸屑は広葉樹の方が良い。針葉樹は堆肥化しにくいから、半分腐りかけてるくらいのものを使うのがベターだ。

鋸屑はもらえるところが見つからないし、ピートモスを買うのは馬鹿らしい、籾殻もない、ので、腐葉土を山から集めてこようと思ったが、コイン精米所からタダでもらえる糠で代用してみることにした。

今のところ3回使っているが全く臭くない。

ウッドチップはどうか

コンポストトイレでよく登場するのがウッドチップだが、堆肥化に長い時間かかる上に堆肥の質が落ちるようだ。木質に含まれるリグニンはなかなか腐らない。畑にするために開墾すると木や根っこの切れ端が地面から出てくることがあるが、しっかり元の形を保っているのだ。

それにウッドチップは少し目が荒すぎるので、トイレの匂いを抑えるのに量が必要だし、炭素が多すぎてコンポストの窒素炭素バランスを崩してしまうようだ。

大小を分けない

大小を分けるコンポストトイレの方が認知度が高いのかもしれない。それは小を混ぜることで水分量は多くなるし、窒素過多になって臭うからだ。

しかし大小を分けなくても良い方法がある。それは有機物をしっかり入れてカバーすること。

小便を分けることでそれを希釈して畑の液肥にすることもできるが、大小を分ける必要がないシンプルさが僕にはあっている。

かと言って小便だけの時にカバーに使う有機物を消費したくないので、僕は畑の片隅で適当にしてしまうようにしている。小便はそのままだと濃いのでいろんなところでするようにしよう。同じところで小便しているとそこの草が死ぬ。

バケツがいっぱいになったらコンポストへ

バケツが汚物で満たされたらコンポストへ入れて堆肥化を待つ。

入れる前に中央をくぼませて、そこに投入すると良い。

入れたらしっかり隠れるように刈り草などでカバーする。これを怠ると匂いや虫の原因となる。重ね重ね言うが、ちゃんと管理すれば匂いや虫とは無縁なのがコンポストトイレだ。

コンポスト枠づくりの記事も書かねば。

トイレットペーパーはどうする

トイレットペーパーはバケツの中にそのまま入れて良い。有機物としてちゃんと堆肥化できる。

しかし僕はできるだけトイレットペーパーを使いたくない。お尻を吹くだけのために木を切り倒して紙にするなんて狂気の沙汰だと本気で思っている。かと言って人の家でトイレを使う時はペーパーをつかうが、やはり心苦しい。そんな行為に慣れている自分にも情けなくなる。

しかも木材から紙を作るには大量の薬品を必要とする。ヘンプペーパーとかなら作付面積あたり4倍の紙を生産できる上に薬品いらず。繊維が長いのでリサイクルもたくさんできるからどっかでパラダイムシフトを起こさなくてはならない。

なのでこのトイレはインド式にした。登山業界ではお馴染みの使い古したナルゲンボトルに水を満たしておいて置く。そういえばネパールの知り合いの家にお世話になった時もトイレ用にナルゲンボトルを渡された。さすがはエベレストエリアだなと思った。

この水を使って左手でお尻を洗う。しかしナルゲンボトルは口が広くて使いずらかったので小さなヤカンでも調達しようかと思う。

手で洗うなんて汚いと思う人がスタンダードなのだろうが、インド人から言わせれば紙で拭く方が汚いのだ。だって紙じゃあ汚れを伸ばしているだけで落ちていないじゃないかと。インドで紙を使っている旅行者は日々のスパイスでお尻がヒリヒリするらしい。僕はインドでは常に水だったのでそんなことはなかった。

コンポストトイレはその土地で生きる証

さて、これでやっと僕も生命の循環の輪に入ることができた。

これで僕の汚物は堆肥となり、畑に還り、野菜を育て、その野菜を食べて出た汚物を堆肥にするのだ。これでやっと今いる土地と繋がったという思い。

それまではなんだか居させて貰っているような感覚だったが、主体性を持ってこの土地の生命たちと共存している実感が湧き出てきた。これでトイレの自給が完成した。

日々のトイレが大地を豊かにするなんて、こんな素晴らしいことはない。

トイレが楽しくなる。そんなトイレ。ぜひ導入をご検討あれ。

ちなみに、現在あるトイレ室にバケツトイレを置いてしまうと言う簡単な方法もある。これならすぐに導入可能だ。

参考にしている書籍はこちら。人糞コンポストのバイブル。kindle unlimitedで無料で読めるが残念ながら英語のみ。

 

後日談:虫が湧く

順調に管理できていると思っていたコンポストトイレだが、バケツいっぱいに汚物が溜まって、コンポストに内容物を投入する段階になって異変が生じてしまった。

ウジ虫が湧いてしまったのだ。糠で覆われたトイレの表面がその下にいるウジ虫によって波打っていたのを見たときには驚きを通り越して恐怖(笑)を覚えた。

それまで十日ほど汚物を貯めてきたものの、そのような問題は発生しなかった。

考えられるのは、初期段階ではなるべく小便を入れないようにしてきたのだが、慣れてきてその量が増えてきたこと。しかし、しっかり有機物でカバーされていれば大丈夫なはずだ。

そうすると糠が怪しいと思っている。最初から少しは虫が混ざっているし、栄養満点な感も否めない。

また、インド式の水洗いも問題を悪い方向に進めている気もする。水分が多いとカバーマテリアルをより多く必要とするからだ。もしかすると糠を被せるのをケチりすぎただけかもしれない。

いずれにせよ、教科書を無視して独自の方法を取っているのが「カバーマテリアルに糠を使っていること」と、「インド式水洗い」なのでこの二つの要素を修正してみようと思う。

2018年8月現在、拠点を新たに移しているところなのでレポートはまた後ほどアップする予定。

取り敢えず中身はコンポストに入れて大量の刈草でカバーした。初めて汚物を堆肥の材料にする感動の瞬間であった。

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百姓2.0/自給リスト(自足に限らず);野菜、米、塩、味噌、建築、トイレ、経済、国家、獣肉(拾い物)、書籍、映像、音楽 etc /自著『旅をふりかえる旅』https://amzn.to/2Wb1mNs、『下らない生き方』https://amzn.to/2ZEjgKf /
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コンポストトイレを作って日々の汚物を堆肥化する” に 2 件のコメント

    1. ありがとうございます。幸い毎日が遊びでネタに溢れた暮らしができています。トイレについてはもっと追求したいと思っています。

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