【あるもんで建築】6.杉、松、栗の皮むき 〜コンポストトイレを小屋から持続可能な方法で作る

素人仕事ながらホゾ接ぎのみによって土台を完成させる事ができ、いよいよ小屋全体を完成させる自信が湧いてきた。

やはり実際に手足を使って作業することによって本当の学びはやってくる。この小屋作りに着手する前にいくつもの記事や写真を物色してきたが、やはり諸々が腑に落ちるのは物事が動き出してからだ。構造しかり、道具の使い方しかり、材の特徴しかり、自らの技術しかり。

おかげさまで建物を見る目が変わった。構造に目が言ってしまうのだ。古民家、お寺、神社、お堂なんかは見ていて参考になるし楽しい。そして本当にすごいなと思う。古民家については、住まう人を失って朽ちていくのを待っているものが日本全国に無数にあると思うと、本当に勿体無いと思う。古民家は本当に贅沢な家だ。

さて、土台が出来たので次は柱を立てていくのだが、その前に丸太の皮むきについての話をしておきたい。

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杉の皮むき

杉は伐採後すぐに皮むきをするとツルッと向ける。調べていると伐採二日以内が良いらしい。時間が経つにつれて乾燥していき皮が張り付いて剥がれにくくなってしまうのだ。

最近は皮むき間伐という伐採前のまだ生きている木の皮を剝いて、立ち枯れさせてから伐採する方法が認知度を高めているが、当然伐採後すぐの皮むきが簡単なように、伐採前の皮むきも簡単なのだ。因みに皮むき間伐は枯れてからの切り出しなので木材が軽くて作業が容易になる。

その皮むきがどれだけ簡単かというと、それこそバナナの皮を向くように簡単だ。杉の繊維に沿った上下方向の皮むきは特に。

剥いた皮はそれなりに出るので何か使い道はないかと調べると、現在では稀になったものの、杉皮はその天然の防水性により屋根の下地や外壁、垣根などに使われるそうだ。杉皮だけで葺いた屋根も存在する。

雑に向けば焚き付けかマルチ資材としての利用になるが(堆肥化もできるかな)、少し時間をかけて皮むきすればもしやもすると貴重な資材になるかもしれない。ちょっと検索してみると一坪分の杉皮で7000円もするじゃないか。

伐採したての杉の皮を剥く

目の前の雑木林にちょっと危ない木があった。立ち枯れた木が蔦に絡まってぶら下がり、風に揺られてはキーキーと金属音をきしませていた。その倒木は隣接する杉の木を伐採することで、一緒に倒す事ができた。

杉の皮むきについてはすでに調べがついていたので、伐採の翌日、早速皮を剝いてみることにした。

使った道具はナイフとナタ。

まずはナイフで繊維に沿って切れ込みを入れて、

次に繊維を断ち切るようにナイフを入れる。

そしてナタをヘラの要領で皮と材の間にねじ込んでいく

これでつるんと皮がむける。特に春からお盆前にかけては杉の生命活動が活発になり木が水を吸い上げているので特に水分量が多いようだ。作業中は剥いた皮の内側から汁がしぶき上がってくるほど。

しかし剥くのは簡単と言っても建築資材として使えるようなクオリティで皮を剥くのは簡単ではない。それは木の直径がそんなに太くないからかもしれないが、剝いた皮が割れてしまうのだ。

これでは屋根の下地にはちょっと役不足に思える。防水は無視して化粧材としてなら使えるかも。

この程度のクオリティならバナナのように剝いてしまったほうが時間もかからず良いような気もするが。それにしても皮を剥いた杉は人っぽい。

伐採から2ヶ月ほど経った杉の皮を剥く

基本的にトイレ小屋の柱にしようと思っている杉の丸太は集落の伐採で出た倒木を拾ってきたものだ。その経緯については本連載第2号の木材調達に書いている。

【あるもんで建築】2.木材調達 〜コンポストトイレを小屋から持続可能な方法で作る

建材として利用するには伐ってから2ヶ月そこらではまだまだなのだろうが、流石に伐採したばかりの木よりはベターだろう。

一本だけ先に剥いてある

しかし伐採から時間の経った杉の皮がどれだけ剥きづらいかは、作業に取り掛かった瞬間に思い知ることとなる。

伐採したてだと3ミリ厚くらいの皮が前述した通りバナナの皮ようにむけるのだが、伐採から時間がたつとそのバナナとバナナの果実の間がぴったりと張り付いてしまうのだ。

したがって鉈を入れてもバナナの皮をピーラーで薄く剥くような状態になる。しかも硬い。

柱に使うような2mを超す杉の丸太となると表面積はそれなりの広さだし、四本もある。腕力と根気と時間をすり減らし、腱鞘炎になりそうな手首をなだめながら、ひたすらナタをふるった。

それでもバナナの果実はなかなか顔を出してくれない。まあ場所によっては出ているのだが。それにしても写真のピントがあっていない。

結局はうんざりしたので(笑)この程度で済ますことにした。皮を向くのは虫が食うのを防ぐためなのが大きな理由と理解しているが、皮の厚みの2/3程を剥いたこのような状態でも十分ではないかと勝手に判断したからだ。

まあ、薄皮が残っているという感じだろうか。同じように薄皮が残った古い廃材を使った事があるので大丈夫ではないだろうか。問題が発生したら報告したいと思う。

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皮むきもあと一本となったが、最後の杉の丸太は以下の写真のようになっている。

最初はこれも自然の造形美だしデザインに組み込んでしまおうと思っていたが、少し強度の落ちるところがあったので使うのを控えることにした。

そうなってくると柱が足りなくなる。と、思って木材置き場を眺めていたらちょうど良い太さの杉がある。それは自分で伐採してつるんと皮を剥いた杉だ。

本当に伐採したての木だがまあ良い。これも良い実験だ。このサイズのトイレ小屋なら実験にちょうど良い。ログハウスは生木で作るらしいし、以前の記事でも書いたが、ホゾで組み合わせる工法ならば、建築後の木材の歪みを吸収してくれるのでは無知ながら期待している。

僕は木の命を奪った以上、最大限の敬意を払いたいと思っている。目の前の敷地から自分で切り出した木を使って建物を作るなんてこれ以上の奉納の仕方はないのではないだろうか。

まあこれも人間の勝手な自己満足なのかもしれない。しかし資材に使うにしろ、薪として燃料にするにしろ、限りなく命を育む方向に物事が動くように行動の連鎖を回していきたいと思う。

しかし一点問題がある。それはその杉がカビていることだ。

つるんと剥けた杉がカビる

伐採したての杉はつるんと剥けて最高だと思っていたら二週間くらい雨ざらしにしていたらカビて真っ黒になってしまった。

調べて見ると活動期に入った杉はその水分量の多さゆえにカビやすいらしい。皮を剥いた後はベタベタしているのだが、そのベタベタがカビたようだ。皮むき後にこのベタベタを洗い流しておけば良いのかと思ったが、毎日水洗いしてもカビたという情報がネットに出てもいた。

お盆過ぎから年内12月までが伐採に最も適している「伐り旬」と言われており、それは木が水の吸い上げを終えるから。なるほど、建材として乾燥させるにも楽なはずだ。

ちなみに伐採2ヶ月の杉の一本は少し早めに皮を剥いており、同様に雨ざらしにしておいたのにカビなかった。これは切った時期が3月のまだ寒い頃だったからか、2ヶ月でも乾燥が進んだからか、またはその両方だろうか。

1月頃には水の吸い上げは始まるそうなので、すぐに剥かなかったのがカビない理由かもしれない。だとすれば活動期の杉はすぐにむかなければカビを抑えられるのかもしれない。しかし皮を剥くのは大変になる。いや、機械でやれば簡単だ、という声がどこからか聞こえてくるようだ。

そういえばつるんと剥いた杉皮の内側もカビていた。うーむ。

とりあえずヤスリをかけてみるとまあまあ綺麗になる。写真では分かりづらいがそれでも薄っすらカビは残っている。

ヤスリはなかなか骨が折れるので水をかけてスチールウールで削り落としてみる。ヤスリほど綺麗にはならないがなかなか効率が良い。

腐った木を建物に使うのが大問題なのは常識だが、カビはそもそも悪いのだろうか?と思って調べると、ログハウスは案外カビるそうで、完成後も掃除は欠かせないらしい。漂白剤を使う人もいる。それは断固として断るが。

なるほど、建築後の木材がカビるのだったら少しくらいカビの跡が残ってても問題ないだろうと思い、この程度で良しとした。

とにかくこれで柱となる杉の皮むきは完了した。

栗の皮むき

すでに完成した基礎と土台は栗でできているのだが、そういえば皮むきについては触れていなかった。

補足しておくとこの栗の木はコナラではないかという疑惑が出ていて、今ではかなりコナラであったような気がしている。葉っぱや栗の実などの手がかりがないと栗とコナラは判別が難しい。この木の丸太は拾ってきたもので手がかりが乏しい。詳しくは2号で。

【あるもんで建築】2.木材調達 〜コンポストトイレを小屋から持続可能な方法で作る

こうなってくると栗の皮むきなのかコナラの皮むきなのかはわからないが、この木の皮むきは難しくない。

杉と違って分厚く、皮と材の隙間に鉈の刃を入れてしまえば綺麗に剥がれる。剥がれにくい箇所は鉈で結構大胆にカツカツ削っていくと最後は綺麗に剥ける。

剥きやすい杉よりは剥くのは大変だが、剥きずらい杉よりははるかに楽だ。何より剥き残しがないのがありがたい。

松の皮むき

目の前の雑木林には蔦が絡まって倒木がぶら下がっている松の木もあり、危ないのでこれも伐採した。

切り倒した松を見ていたらこれは梁に使えると思いついた。脳内設計図がまた少し繋がった瞬間だ。これもまた本当に伐採したての生木だが、梁に使う材を調達しないとと思っていたのでちょうど良い。工程を経るほどに脳内のイメージが鮮明になっていくし、次にやるべきことも見えてくる。

この松の皮むきを開始したのは伐採してから数日経ってからだと記憶している。一週間は経っていないはず。3、4日くらいだろうか。

伐採したての杉のように綺麗にむけるところもあるが、杉ほど容易ではない。栗よりも剥きずらい。が、剥きずらいというわけでもないというのが個人的な感想だ。伐採2ヶ月の杉よりマシ。

しかし難点が一点ある。松ヤニのベトベトがすごい事だ。これは伐採してすぐだから余計かもしれない。とにかく手や鉈がベトベトになるので手袋はつけたほうが良い。石鹸で洗っても一度では落ちない。

剥きずらいというわけではないと言っておきながらも薄皮が剥きずらいところもあったので、U字溝の水路に一晩つけてみた。これで残りの薄皮が剥きやすくなるのではと思ったのと、活動期の杉のように、この松にもカビが生えたら面倒だと思ったからその対策として。

少なくとも取り残していた皮はかなり剥きやすくなって、つるんと取れた。

あまりにベトベトなので写真はとっていない。

それにしても木をノコギリで伐採してそれを必要な長さに玉切りするのもなかなかの重労働だが、案外皮剥きの方が大変かもしれない。時間もかかるし。結構うんざりするタイプの作業だ。

しかしこれでやっと次は柱を立てる工程に入ることができる。地味な仕事の後には派手な仕事が待っている。

一人で全ての作業をするとこのように日向の作業と日陰の作業を両方できるのが良い。僕はグループ作業になるとどうしても日陰作業ばかり率先しがちだから。

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百姓2.0/自給リスト(自足に限らず);野菜、米、塩、味噌、建築、トイレ、経済、国家、獣肉(拾い物)、書籍、映像、音楽 etc /自著『旅をふりかえる旅』https://amzn.to/2Wb1mNs、『下らない生き方』https://amzn.to/2ZEjgKf /
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