【あるもんで建築】3.穴を掘って掘立基礎を焼く 〜コンポストトイレを小屋から持続可能な方法で作る

材料は全部揃ったわけではないし、壁や屋根作りの展望もまだ決まっていないが、少なくとも建築を始められるだけの木材は揃った。一つ一つの作業に時間がかかるだろうから、工程を経る間に適切な材料を見つかること、そして、良いアイデアが思いつくことに期待する。

トイレ小屋作りの最初の作業は穴を掘ることだ。何しろ作ろうとしているのは掘っ立て小屋。文字通り基礎となる柱を「掘った穴に立てる」建築方法で、日本では縄文時代の竪穴式住居から、伊勢神宮などで採用されている。

この方法を採用したのはコンクリートを使わずに、高い強度を得られるからだ。山から削り出した石灰岩を原料とするコンクリートは限りなく使いたくない。

そもそもコンクリート時代が生み出した産物は自然界ではイビツなのだ。ダム、河川の護岸、法面のコンクリート擁壁など、水や空気、土などの動きはコンクリートで矯正してやればどうにかなるものではない。それは洪水、土砂崩れ、生態系の破壊などの副作用として可視化されている。

脱線した話を本題に戻して、早速掘っ立て小屋の穴を掘ることにしよう。

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穴を掘る

トイレ小屋建設予定地はすでに簡単な整地を済ませ、目視でなんとなくフラットにした。しかしコレは厳密でなくても良い。平面は後ほど掘っ立てた柱から出す予定だからだ。

穴の位置、すなわち小屋の寸法は、調達した丸太のサイズと相談しながら、トイレとして快適な広さになるようにした。数字としては計らずに、実際に木を置いて位置を決めた。

位置が決まれば穴掘りだ。剣先スコップで大体を掘り進んだ後は、借りてきた穴掘り器で更に深く掘って行く。穴あけ機で土を挟んで持ち上げる動作は結構疲れるので、時々腕を突っ込んでは、削った土を手で掘り出すと楽だ。同じ体勢の作業を続けるとやはり疲れるものだ。

掘る深さは60cm。深さを測るために、細長い木材の60cmのところに印をつけて穴に挿入した。このように一定の長さを測るための木切れは「馬鹿棒」と呼ばれる。馬鹿でも使えることがその言葉の由来のようだが、いちいち定規の目盛りを読むよりよっぽど楽だし正確だ。

穴掘り終了。歪んでいるように見えるのは遠近のため。
使用した道具。左から、馬鹿棒、剣先スコップ、穴掘り器

穴の深さと凍結深度

穴の深さを60cmとしたのは凍結深度を考えてのことだ。

凍結深度とは地面が凍る深さのこと。地中は外気温より暖かいので簡単には凍らないが、寒冷地や山間部になってくると話は違う。当然寒ければ寒いほど地面が凍結する深さが増して行く。

では地面が凍るとどうなるのか。水は凍ると膨張する性質がある。当然土にも水が含まれているので、霜柱となって地面を押し上げる。仮に、建物の基礎を凍結深度より浅いところに設置してしまうと、凍結の膨張によって建物が押し上げられてしまうのだ。当然溶けると今度は沈むわけだが、こんなことを繰り返していたら建物が歪んでしまいかねない。

それでは凍結深度はどうやって知れば良いのか。

例えば「長野 凍結深度」でグーグル検索すると長野市のページがヒットする。そこには、

凍結深度は45cm以上とし、標高が概ね800mを超える地点においては60cm以上とします。
ただし、その地点の地盤・気象条件等に基づき算出した場合は、この限りではありません。

このように書いてある。このように行政が凍結深度の基準を設定しているので、「〇〇市 凍結深度」などと調べれば良い。

しかし僕がいる広島県の山間部ではそうのようなページは発見できなかった。それでも2017-18年の冬は最低気温が氷点下15度近くまで落ちた地域ではあるので油断できるものではない。

そこで北海道の凍結深度を調べてみると、札幌や、僕が以前住んでいたニセコ周辺は60cm、旭川は寒いので80cm、釧路なんかだと120cmにもなるのだが、少し温かめの小樽や函館が50cm。

流石にここはニセコほどは寒くない。

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ならば50cm掘っておけば間違いないだろう。石かなんかを底部に敷くことを考えるともう少し深いほうが良いと思い、60cmとした。

のちに広島の土木関係の人と話したら50cm見ておけば問題ないとのことで一安心だ。

柱の腐食と常水面

掘っ立て建築をするにあたりwikipediaの掘立柱建物の項が非常に参考になっているが、そこには腐食対策として、柱を土中に埋める場合は、常水面下に設置する必要があると書かれている。

常水面とは土中において地下水が常に流れている深さで、それより深いところは常に水分を含んでいることになる。常に水分があるところに柱を埋めると早くに朽ちそうに思えるが、常水面下では酸素の供給が著しく乏しくなるので腐食を防ぐことができる。

常水面は当然場所によって違うが、丘の上なんかは谷底と違って水はけが良く常水面が低いので、土中に埋めた柱は腐りやすくなる。

なるほど、コンポストトイレ小屋の建設予定地はまさに丘の上。頂上だ。すると常水面はだいぶ深そうだ。かと言って埋める柱の材の長さにも限界があるし、そんなに深く掘るのも大変だ。そもそも凍結深度のように常水面の深さは調べ方もわからない。

そんなわけで常水面は考えず、凍結深度だけを考えて前述した通りの60cmの深さとした。これも土木関係の人と話した時に問題ないだろうとのことで一安心だ。

腐食対策に表面を焼く

地面に埋め込む基礎材として栗の丸太を調達した。実はこの木が栗じゃなくてコナラ疑惑がでているがそれは前回の記事を参照してほしい。

【あるもんで建築】2.木材調達 〜コンポストトイレを小屋から持続可能な方法で作る

さて、栗は天然の防腐、防湿、防虫効果があり、防腐処理をしないで使える唯一の木材として、昔から土台や枕木などに使われてきた。

しかし折角なので防腐処理をすることにした。何しろ常水面については考慮に入れていないし、せっかく建てるならそれなりに長持ちしてほしい。栗じゃない疑惑が発生したのは基礎を打ち終えてからだが、これが栗でないとしたらなおさら防腐処理するに越したことはないのでちょうど良かった。

その防腐方法として選んだのが、表面を焦がすことだ。木の表面を炭化させることで、防腐効果が得られる。西日本には焼杉を外壁などに使う文化があるし、近所の個人宅にも杉の電柱があるがそれも土に埋めてある部分が焼いてある。

早速火をつけて焼いてみる。よりによって霧雨が降り始めるような湿った日を選んでしまったのもあって予想以上の時間がかかってしまった。

そもそも全焼した家屋も柱や梁はその形を残すくらいなので、太い木をしっかり焦がすのはなかなか骨が折れる。

木が重いからと火にかけるのに平場を選んだのも良くなかったが、それぞれの木の焦がしたい部分をパズルのように組み替えながら空気の通り道を作って燃焼効率をあげた。

これはよっぽどのことがないと焼き過ぎることはないから大胆に燃やしてしまっても良いだろう。それにしても写真でみると、薪をケチりすぎているのがよく分かる。お陰で3時間位かかったように記憶している。

こんがり焼けた。これでやっと穴に掘っ立てる準備が整ったことになる。続きは次回。

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百姓2.0/自給リスト(自足に限らず);野菜、米、塩、味噌、建築、トイレ、経済、国家、獣肉(拾い物)、書籍、映像、音楽 etc /自著『旅をふりかえる旅』https://amzn.to/2Wb1mNs、『下らない生き方』https://amzn.to/2ZEjgKf /
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