【あるもんで建築】10.棟上げと屋根勾配についての考察 〜コンポストトイレを小屋から持続可能な方法で作る

前回までに建物前方の桁を二本の梁に渡すところまで終了したが、もう一本の桁を短く切り過ぎてしまったので、先に棟木(むなぎ)の作成に入って行くことにした。

建物の骨組みにおいて最も高い位置に渡されるのが棟木だ。

そして桁からどれくらい上に棟木を取り付けるかで屋根の勾配が変わることになる。

これまで屋根については色々と頭を悩ませてきたが、棟木を取り付けることでその方向性が一つ定まることになるであろうからとても重要な局面になりそうだ。

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屋根の素材と屋根勾配

屋根の素材はまだ決まっていないのだが、木製にすることを考えている。屋根材を買うつもりはないし、廃瓦を葺く自信はない。廃トタンも見当たらない。空き缶を切り開いて瓦のように葺くことも考えたが、集めるのも手間だし、なんかヒッピーっぽくなりそうなので敬遠した。

木製であれば施工は難しくなさそうだし、見た目もカッコよくなるだろう。近所の人にとっても見栄えがいいのではないだろうか。

「コンポストトイレ」と横文字で言えば聞こえも良いし、堆肥化すると言えばなんだか専門性溢れる響きもあるが、そうは言ってもバケツに用を足すタイプのトイレを作ろうとしているのだ。現代日本、しかも保守的な山村においてそれがアバンギャルドな行為であることには変わらないだろう。

もちろん、「昔はそうやって畑に還していた」と言ってくれる世代の人もいるが、全員がそうではない。だからこそ僕が施工のイメージとして常に持っているのは「都会の若者が気軽に使えるトイレ」だ。

そのためにもボロくて汚そうな小屋ではなく、見た目にも格好良くて清潔感溢れた小屋にしたいと思っている。ヒッピーっぽさを排除して、伝統建築っぽくしたいのだ。

この文章を読んで気分を害したヒッピーの方々には申し訳ない。しかしヒッピー諸氏が芸術性と創造性に溢れていることを僕は知っている。この小屋から廃したいのは「世間的なヒッピーのイメージ」だ。まあ僕もヒッピーみたいなものだろうからね。

さて、しかし木製となると心配になるのは雨をどこまで防げるかにある。

幾人かに意見を求めた結果、屋根勾配さえそれなりにあれば、素材の如何に関わらず水が鉛直方向に浸透するより早く屋根を伝って落ちるだろうと言うこと。

なるほど、それでは棟木はできるだけ高く設置する必要がある。

束の取り付け

まずは小屋前方の桁に棟木を乗せるための短い柱である束(つか)を乗せる。ここではメインの四本の柱の端材がちょうど余っていたのでそのままの長さで使ってみた。ホゾは以下の写真の通りだ。

束の長さが棟木の高さを決定する。そして棟木はできるだけ高い位置にしたい。しかしどう見てもバランスが悪い。

いくら屋根の勾配を可能な限り急にして雨対策を講じるなどと考えても、それは机上の空論にすぎなかった。どう見てもバランスの悪い建物を建てる自信など僕のような素人にはない。ただでさえトイレ小屋はタワー型の形状なのに、尚更いびつになっているではないか。

考えてみるとタワー(電波塔やタワーマンション、五重塔など)を除いてこんなに細長い建物はない。これだからぐらつきがなかなか取れないのかもしれない。同じ四本足でも一般的な東屋なんかは立方体に近いが、この小屋は直方体だ。よっぽどバベルの塔より細長いのではないだろうか。縁起が悪い話だが。

そう言うわけだからもはや屋根勾配は無視して、この束が見た感じバランスの良い長さに切ることにした。もはやここに設計やら学問なんてものは介在しない。そもそも僕は建築のイロハは備わっていない。ただの見た目。すなわち勘でしかない。僕が生きてきた31年間で培ったバランス感覚を込めるだけだ。

話を作業に戻そう。細長い材を水平に打ち付けて、なぞるようにして墨付けする。

バランスのとれた長さに切断して棟木を乗せるためのホゾを削った。ホゾは定番のマイナスドライバー型。

棟木の取り付け

ついに棟木の作成までこぎつけた。まだまだ先は長いが感慨深くないと言ったら嘘になろう。

しかし振り返ると確かに「感慨深かった」に違いない思うのは、写真も取らずに黙々と作業してしまったからだ。もともと景勝地なんかに言ってもフィルムではなく網膜と脳裏に焼き付けるタイプの人間だから、集中するほどにカメラと無縁になってしまうのだ。

だからあまり写真がない。しかし作業は複雑ではないので良いだろう。

さて、棟木には柱の選考に漏れた少し太めの杉を使うことにした。使うことにした、と言うよりは、もはやそれしか材が残っていなかったと言う方が正しい。それでもサイズ感はピッタリだし、杉は軽いので棟上げ作業が苦にならないことに期待。

これまでホゾ接ぎを幾度となく行ってきたが、この棟木の取り付けで、初めて「しっかりと」はめ合わせることができた。少しキツめのホゾをハンマーで叩いてはめ込んだ。

今までは取り外しができるためにも、そして、木を割らないようにするためにも、かなり保守的な(もといビビリな)ホゾ接ぎをしてきたが、ここにきてなぜか大胆(面倒)になってハンマーで叩き込んでしまった。おかげで、取り外せるかわからないくらいしっかり決まった。しかしこの棟木、束、桁は外れなくて良いと思っていたのでこれで良い。

しかし桁と束は緩いので廃材で仮固定しておいた。

棟上げ

その昔、コミュニティ内に建設途中の家があって、いざ棟上げという日には近所の人が一同に介して棟木をあげたことだろう。棟木は建物の骨組みの中では一番高いところにあるので、なかなか一人でできるものではない。

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普通に家を買って大工さんに建ててもらう場合、棟上げ後に上棟式を開いては職人さんをもてなして労うのが一般的だが、かつての百姓のように自分たちで家を建てる場合は、共同作業の必要な棟上げに集落の人たちの助けを借りて、その後、みんなで宴会したのだろうと思う。これは現在の集落の草刈りにも残っている文化だ。

そして、これまでの作業を安全に終えたことに感謝し、この建物の完成を祈願する。

そんな重要な工程たる棟上げだが、一瞬にして終えてしまった。

それなりに重いし、高所作業なので、だれかの手を借りようかと思っていたし、棟上げくらい感慨に浸って拍手(笑)でもしようかと思いもしたが、結局は何事もなかったかのように、乗せてしまった。

そして余韻に浸る間もなく次の作業へと入って行く。何しろ建物後方の桁はこれからだからだ。しかし写真くらいは余韻に浸っておこう。

建物後方の桁を渡す

普通だったら棟上げする前に桁は完成しているはずなのだが、桁に使おうと思っていた材を誤って短く切りすぎてしまったので、やむなく棟木を先に作ることにしたのだった。

【あるもんで建築】9.梁(はり)と桁(けた)を渡す 〜コンポストトイレを小屋から持続可能な方法で作る

棟上げも終えたし、桁の素材でも探しに行こうかと思いたった時、木材置き場に置いてあった丸太に目が止まった。

それは僕がすぐ目の前の雑木林から切り出した杉で、皮を剥いで置いておいたものだ。伐採したのが杉が多量に水を吸い上げる時期に当たる5月であったためだろう、置いておくうちに真っ黒にカビてしまっていた。詳しくは以下の記事を参照されたい。

【あるもんで建築】6.杉、松、栗の皮むき 〜コンポストトイレを小屋から持続可能な方法で作る

この杉を使うことは全く頭に入っていなかったので、そもそもそこにあることすら忘れてもいた。しかし、

「私を使えばいいじゃないか」

その杉がそう言っているような気がした。よし、この杉を使おう。

この杉の丸太はひときわカビに覆われているが、そんなものは磨いて綺麗にすれば良いのだ。四本の柱のうちの一本もカビた杉を使ったではないか。太さもイメージ通りだし、長さも十分だ。

何より素晴らしいのはこの小屋から目と鼻の先、それこそ15mくらい離れたところで伐採した杉ということだ。はるばる遠くから流通網に乗ってモノが運ばれるこの時代においてこれ以上の贅沢はない。

早速、水をかけながらスチールウールで磨いてカビを落とす。もちろん完璧に落とし切れる訳ではないがこのくらいで十分だ。いつもの通り、思い立ったら即行動してしまうので、写真を撮影するのが一歩遅れてしまっている。

長さは棟木と同じ長さだ。この桁と棟木の上に屋根を作っていくことになる。

桁と梁の接ぎ方は前回同様「渡り顎」を採用した。一度経験しているだけあって、だいぶスムーズに削り出すことができた。下になる梁側と上の桁側の削り具合がなかなか難しく、1回目は結構時間がかかった作業だった。

これではれて小屋の主要な骨組みが完成したことになる。ここまでは丸太のみで仕上げてきた訳だが、最初に拾ってきた分と、目の前の雑木林で必要に迫られて切り出した分だけで、ぴったり足りてしまったのだから驚いた。失敗した分も含めて。

そしてこれからは板や角材などの製材を使って屋根、壁、床を作って行く訳だが、地元の建設屋さんが小屋の解体ででた廃材を無償提供してくれるなど、まさに何もかもが上手く行っているのだ。あちらは産業廃棄物を無料で処理できる、こちらは廃材を再利用したい。まさにwin-winの関係だ。

これまではなんとなくの精度で作り上げてきてしまったが、屋根や床をはる段階でありとあらゆる歪みのツケを払うことになるような気がしなくもない。

しかしこの後なかなか作業のできない日々が続くことになる。ここ広島もすでに梅雨に入っている。その前までに屋根は完成させておきたかったのだが仕方がない。それにちょうど自然農の田植えも重なって小屋作りに割ける時間が作れないのだ。

まあ、ぼちぼち行こうと思っていたところに梅雨ならではの問題が明るみに出ることになる。詳細は次回。

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百姓2.0/自給リスト(自足に限らず);野菜、米、塩、味噌、建築、トイレ、経済、国家、獣肉(拾い物)、書籍、映像、音楽 etc /自著『旅をふりかえる旅』https://amzn.to/2Wb1mNs、『下らない生き方』https://amzn.to/2ZEjgKf /
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