発ガン性物質は日本全体で1000人のがん患者を許容している?

日本における死因の一位は長らくガンである。そしてその死者数は年々増え続けている。

他の病気は治療でなんとかなるから相対的にガンが増えている訳ではないのは、欧米ではガンの死亡者数が低下していることからもわかる。ガンは治せる病気であって、不治の病ではない。

ガンは高齢になるほどリスクが高くなるから日本の超高齢化社会がそうさせるところもあろうが、ヨーロッパだって高齢化しているからそれだけが問題ではないのは明らかである。世界で認可されている薬が日本で許可されるまでに時間がかかるドラッグ・ラグなど、日本の医療制度の問題も大きいだろう。

研究 欧米ではどんどん減っているのに なぜ、日本人ばかりが「がん」で死ぬのか ー 週刊現代

しかし僕がここで考えて見たいのは、発がん性物質のリスク設定の仕方である。死因のトップなのだから医療費の削減や国民の健康と幸福、それに伴う生産性の向上のためにも対策を強化しそうなものだけど、そうなっていないのはガン患者がいる限り医療が儲かるから。かもしれない。

Sponsered Link

発ガン性リスクの考え方

発ガン性物質のリスクを決める時の考え方の一つとして、実質安全(VSD=Virtuary Safe Dose)というものがある。

化学物質のリスク評価について-よりよく理解するために-5 ー 独立行政法人製品評価技術基盤機構

この実質安全量が意味するものというのは特定の化学物質などの発ガン性物質に晒されることで一生涯に例えば10万分の1や100万分の1の確率で発がんする量ということになる。

それすなわち、実質安全量を摂取すると、10万分の1の確率であれば10万人に1人ががんになるということであるから、日本の人口を1億人とすると、1000人がガンを発症し得る量ということになる。

僕にとって日本中で1000人がガンを発症しうる量が「安全」のための基準であるとは思いづらい。交通事故をなくすために車を無くすのは極論だが、車には益がある。いやいや、発がん性のある化学物質も益がある。そういう社会を僕たちは生きているということである。まあ安全基準というよりリスク基準ということである。

無論、発がん性のある物質は一種類ではなく、現代においては食品から、建材から、環境からと、あらゆる局面において僕たちの身近に存在している。

それら一つ一つの安全基準が100人やら1000人のガン発症を許容していると考えると恐ろしくなる。

発がん性物質には閾値を設けない

発がん性物質の安全基準については閾値を設けないことになっている。簡単に言えば、これこれ以下なら影響がないということがないのである。例えば1mgまで無害でそれを越えると害が発生するというのではなくて、0gから右肩上がりに0.1mg、1mgと発ガン率が増していくことを意味する。

だから実質安全量以下だと全く害がないのではなくて、発ガン性物質に関してはどんな微量でも発ガン率が増加するという考え方なのである。発がん性物質に対するリスクは他の物質よりもかなり厳しく設定しているのだ。

Sponsered Link

すなわち、発がん性物質が基準値以下に制限されて生活圏に存在していたとしても、周囲の人には発ガン性を伴うのである。それが日本で1000人ではないとしても、100人でも、10人でもガンを患う可能性がある。その結果が日本人の死因一位として現れているのかもしれない。

発ガン性だけでこの状況なのだから、その他の疾病を誘引する物質からの影響を考えると、なんと僕たちは危険に囲まれているのだろうかと思う。

また発がん性物質は、これまで語ってきた細胞のDNAを損傷してがん細胞として突然変異させる遺伝毒性のものだけでなく、突然変異は引き起こさないものの、変異した細胞の増殖するのを助ける非遺伝性発がん物質というものもある。

後者に関しては閾値が存在するので、一定量までは健康に無害であるということになっているから、基準値以下なら食品にも入れることができるし、農薬として散布することも可能である。これこれ以下なら摂取しても無害であるということである。もちろん人で研究することはできないから、どこまで正確かは不明であるが、科学的には厳しめに評価していることになっている。

放射能汚染の基準にも触れなくてはならない

このような話をしていると放射能の安全基準のことを思い出さずにはいられない。

国際放射線防護委員会(ICRP)が広島と長崎の原爆被害者を調査したところによると、100mシーベルトの被曝で、1万人あたりのガン発症者数が100人であるとしている。閾値はない。

『「図説」17都県放射能測定マップ+読み解き集』 ー みんなのデータサイト

しかし、原発事故後の汚染エリアに住むという長期間に低線量の被曝をするということは、一瞬にして多量の被曝をした原爆ほどの被害はないだろうということで、その半分であると仮定している。すなわち、100mシーベルトで1万人あたり50人の発ガンである。

日本における放射能汚染力の避難基準は20mシーベルトであるから、1万人あたり10人の発ガンということになる。日本全体にすれば、一億人あたり10万人ががんを発症するというこれまで見てきた発がん性物質と比較してもとんでもない数値に設定されていることがわかる。

そして閾値がない訳であるから、チェルノブイリの移住ゾーンとなる1mシーベルトでも1億人あたり5000人が発ガンするレベルである。ヨーロッパ諸国が被曝の安全基準を毎年0.1mシーベルトにすべきと主張するのもよくわかる。それでも一億人あたり500人だからだ。

少なくとも僕が望むべくは環境と開発に関する国際連合会議(UNCED)による『環境と開発に関するリオ宣言』の第15原則に則ってこれらの物質が評価されることである。

第15原則
環境を保護するため、予防的方策は、各国により、その能力に応じて広く適用されなければならない。深刻な、あるいは不可逆的な被害のおそれがある場合には、完全な科学的確実性の欠如が、環境悪化を防止するための費用対効果の大きい対策を延期する理由として使われてはならない。

※誤った情報や解釈等あればご指摘ください

Sponsered Link

Spread the love
百姓2.0/自給リスト(自足に限らず);野菜、米、塩、味噌、建築、トイレ、経済、国家、獣肉(拾い物)、書籍、映像、音楽 etc /自著『旅をふりかえる旅』https://amzn.to/2Wb1mNs、『下らない生き方』https://amzn.to/2ZEjgKf /
投稿を作成しました 117

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連する投稿

検索語を上に入力し、 Enter キーを押して検索します。キャンセルするには ESC を押してください。

トップに戻る